あまりぱっとしない伝記もの~『ウェルカム トゥ ダリ』(試写)

 メアリー・ハロン監督の新作『ウェルカム トゥ ダリ』を試写で見た。

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  画廊で働くジェームズ(クリストファー・ブライニー)を視点人物とし、ダリ(ベン・キングズリー)と妻ガラ(バルバラ・スコヴァ)の波瀾万丈な生活を描いたものである。ジェームズはダリ夫妻に気に入られてその傍らで仕事をすることになり、カリスマ的な2人が創り出すパーティ三昧の生活に魅せられる、一方でダリ夫妻は2人とも一筋縄ではいかない人物で、トラブルもたくさん押し寄せてくる。

 『アンディ・ウォーホルを撃った女』を監督したハロンだけあって、70年代のパーティの雰囲気は音楽なども含めてけっこううまく出しているし、キングズリーやスコヴァの演技はいいのだが、全体的にはあんまりぱっとしない伝記ものだと思う。とくに映画の流れからして途中のフラッシュバックは要るのかな…と思う。フラッシュバックの場面には若い時のダリとしてエズラ・ミラーが出ているのだが、別に言葉で説明するだけでいいのではと思うような短いものなので、むしろテンポが悪くなっているようにも思う。ダリ夫妻以外のキャラクターもあんまり深みがある人物として描かれているわけではなく、そんなに面白いわけではない。