コーンウォール(3)BBCドラマ『ポルダーク』の撮影が行われたポルダーク鉱山遺跡

 最近私はBBCのドラマ『ポルダーク』にハマっているので、コーンウォールの鉱山世界遺産として公開されているポルダーク鉱山に行ってきた。

 『ポルダーク』じたいは18世紀のコーンウォールの鉱山主で、紳士階級のはねっかえりであるロス・ポルダークの愛と戦いを描く作品なのだが、毎回毎回、コーンウォールの村人たちが徒党を組んで戦ったり、決闘したり、暴動が発生したり、殺人が起きたり、この手の暴力沙汰が起こらないと思ったら不倫や電撃結婚や駆け落ちや商売敵との憎々しい争いがある波瀾万丈の展開で、まあ時代考証にすごいお金をかけた昼メロと思ってもらえればいいと思う。原作小説は日本語に翻訳されていないし、またこの作品は最初に70年代にBBCでドラマ化されてたいへんに人気があったということなのだがこれも日本ではあまり知られていない。しかしながらイギリスでは『ホビット』シリーズに出ていたイケメン、エイダン・ターナーが半裸で草刈りするなどよくわからないサービスカット満載(いや、そしゃセクシーだけど、あんなに半裸で草刈りする必要あるのか?!)でしかもいろんなものがてんこもりの大河展開で気が休まらないので女性に大受けである。今回のツアーでもガイドさんが「ポルダーク好きな人いますか?あ、女性が多いですね。handsome chapだからね」と言ってた…が、コーンウォールではこんなパンフまで作っている。

 売店の人によると、原作小説の著者ウィンストン・グレアムはこの鉱山で取材してたそうで、BBCのドラマは旧シリーズ・現シリーズともにここで撮影している(ここ以外にもっと西にあるセント・ジャストというところでも撮影している)。売店もポルダーク推し。

 ポルダーク鉱山はペンザンスから鉄道とバス(1時間半に1本くらい)を乗り継がないといけないむちゃくちゃ不便なところにあるのではっきり行って全然人が来ず、ものすごくお金がないらしい。博物館、庭、鉱山遺構に分かれていて、鉱山遺構のツアーが予約をしたほうが無難(昨日、予約なしで行ったらなんとツアーやらないと言われた…ふざけんな…)。

 博物館はこんな感じである。


 この鐘は労働時間の終わりに鳴る他、お祝いや事故の時も鳴らすらしい。

 庭はのどかな感じだが、いろいろな機械の野外展示がある。









 爆発物。

 ここが鉱山内ツアーの入り口。


 最初にコーンウォール世界遺産となっている鉱山についてビデオを見て、地質学についての簡単な説明を受けてから中に入る。

 遺跡となっている鉱山の資源は主にスズと銅で、実際に鉱石をさわらせてもらえる。坑内では男性、上の部分では女性が労働者として働いており、18世紀には9歳くらいで仕事をはじめていた。坑内での採掘作業も、上の部分での石の粉砕・より分け作業もかなりの熟練が必要なタフな仕事だったが、とくに坑内の労働環境が劣悪で、18世紀の男性労働者の平均寿命は30代半ばくらいだったらしい。死亡要因としては溺死と落盤が多く、今でもこういう鉱山遺跡にとって排水は大きな課題らしい(鉱山はどこもかしこも湿っていて、上から雨みたいに水が降ってくる)。ドリルが発達すると掘削作業のせいで粉がそこらじゅうに散るようになったので、かえって粉塵関係の病気が増えたそうだ。

 真っ暗でうまく写真がとれないが、狭くて寒いので(11度前後)閉所恐怖症になりそうだ。



 『ポルダーク』が撮影された現場二箇所。


 ツアーじたいは面白かったが、ガイドさんの話によるととにかく金欠だそうで整備が間に合ってないらしい。『ポルダーク』のヒットでちょっとは入場者が増えるといいんだけど、こんなに不便なところにあっては無理だろうな…