「フェミニストとしてすすめる、フェミニズムに関心を持つための」シリーズだが、以前「フェミニストとしてすすめる、フェミニズムに関心を持つための映画5本(1)歴史映画編」は既に実施したんだけれども、ノンジャンルの映画というリクエストも受けていたので、久しぶりにやってみようと思う。
とりあえず基準としては「暗すぎない」ことを重視した。人生はつらいが、芸術はつらくなくてもいい。あと、古い映画でもフェミニスト的なものはたくさんあるのだが、わりと新しくて入手しやすいものを中心にすることにした。あと、ロマンスものはあんまり入れないようにしたらちょっとレズビアンの恋愛映画が入らなくなってしまった…
・『テルマ&ルイーズ』(1991)
女性映画の傑作と言われている作品で、アメリカン・ニューシネマみたいな疾走感でヒロインであるテルマ(ジーナ・デイヴィス)とルイーズ(スーザン・サランドン)のバディぶりを描いた作品。性暴力がテーマだし、ハッピーエンドではないが、後味は悪く無い。ヒロインのふたりはもちろん男性のキャラクターもきちんと掘り下げられており、スローコム警部(ハーヴェイ・カイテル)は人情に厚く深みのあるキャラだ。
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・『女はみんな生きている』(2001)
フランスの女性監督コリーヌ・セローによる作品で、強制売春とか人種差別のような重いテーマを扱っているが、全体的には痛快コメディになっている。夫とうまくいっていない主婦エレーヌ(カトリーヌ・フロ)はある日、ひょんなことから暴力を受けているアルジェリア系の若い娼婦ノエミ(ラシダ・ブラクニ)を助ける。ノエミは強制売春の被害者で、驚くほどひどいめにあってきた女性だった。境遇も年も違うふたりの女は意気投合し、自分たちをひどいめにあわせた連中に復讐をたくらむ。
・『母たちの村』(2004)
ブルキナファソの田舎の村で、女性性器切除(FGM)を受けたくない女の子たちが村の女性コレに「保護」(Moolaadé、原題はこの語で、呪術的・儀式的な保護のことらしい)を求めるという話である。重いテーマを扱っているが、コレをはじめとするブルキナファソの女性たちの暮らしぶりが生き生きと描かれている。
・『少女は自転車にのって』(2012)
サウジアラビアの女性監督ハイファ・アル=マンスールが作った小品。10歳の女の子ワジダが自転車を手に入れようと苦労する様子を、サウジアラビアの厳しい性差別を背景に描いた作品である。超地味な映画だがすっごく面白く、可愛らしく、それでいて辛辣な社会批判がこめられた作品である。
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・『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015)
まあ、これはみんな見てると思うし既に定番になりつつある気がするが、女性に限らず虐げられている者、労働力を搾取されている者、病や障害を抱えている者の自由を高らかに歌い上げた痛快作だと思うので。とりあえずビッグバジェットのアクション映画でフェミニストを顧問に呼んで作ってるというあたりがすごいし。
以下は今までのシリーズである。
フェミニストとしてすすめる、フェミニズムに関心を持つための本5冊(1)物語・ノンフィクション編
フェミニストとしてすすめる、フェミニズムに関心を持つための本5冊(2)理論・学術・専門書編
フェミニストとしてすすめる、フェミニズムに関心を持つための本5冊(3)フェミニスト批評編
フェミニストとしてすすめる、フェミニズムに関心を持つための本5冊(4)歴史編
フェミニストとしてすすめる、フェミニズムに関心を持つための本5冊(5)文学編