豪華なおとぎ話詰め合わせ~『古の王子と3つの花』(試写)

 ミッシェル・オスロ監督のアニメーション映画『古の王子と3つの花』を試写で見た。

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 3つのお話を女性が語るという枠にいちおう入っているのだが、最後は枠がちゃんと閉じないで終わる。全てのお話に王子と植物が登場する。最初の「ファラオ」は古代エジプトとクシュ王国、2つめの「美しき野生児」は中世のオーベルニュ、最後の「バラの王女と揚げ菓子の王子」は近世のトルコが舞台である。

 豪華なおとぎ話の詰め合わせみたいな作品で、綺麗なアニメーションと、平和をもたらす愛の力を称える物語が特徴である。エジプトのパピルスをヒントにした画風の「唖ファラオ」(これはルーブル美術館のクシュ王国展のために作られたらしい)、『ベリー公のいとも美しき時祷書』をベースにしたという切り絵みたいな「美しき野生児」、とにかく豪華な画風の「バラの王女と揚げ菓子の王子」というふうに、3つの絵柄はだいぶ違っていて飽きさせない。とくに最終話の揚げ菓子やバラのコンフィチュールはとにかく美味しそうである。