世界中にある住宅問題~『オールド・フォックス 11歳の選択』(試写)

 『オールド・フォックス 11歳の選択』を試写で見た。

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 舞台は1989年の台北、主人公は11才のリャオジエ(バイ・ルンイン)である。リャオジエは料理店で働くシングルファザーのリャオタイライ(リウ・グァンティン)とつつましく暮らしている。父子はまともな地所を手に入れて理髪店を開くことを夢見ていたが、不動産バブルで全くうまくいかず、リャオジエはやきもきしている。そんなリャオジエは周りから古ギツネと呼ばれている地主のシャ(アキオ・チェン)と親しくなる。

 父子の心温まるヒューマンドラマかと思いきや、不動産バブルのシビアな環境の中でたった11才の子どもが欲まみれの大人の世界に巻き込まれていく、犯罪スリラーっぽいところもある映画である。とくにシャとリャオジエのやりとりがけっこう不穏…というか、子どもが出てくる映画にしてはわりと甘くない感じだ。私もアイルランドで家を借りるのに苦労しているので、まだ小さなリャオジエが「家を売って!」と言うところは世界のどこにも人の欲のせいでまともな家に住めない人がいるんだな…と思ってしまい、住宅問題に思いを馳せてしまった。ただ、門脇麦関係の話は要るのかな…とか思うところもあり(無いほうがすっきりするのでは?)、もうちょっとスリラーに寄った簡潔な話にしてもいいのではという気もした。