空港が舞台のクリスマススリラー~『セキュリティ・チェック』(配信)

 ジャウム・コレット=セラ監督『セキュリティ・チェック』をNetflix配信で見た。

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 舞台はクリスマスイヴのロサンゼルス空港である。若いTSA職員イーサン(タロン・エジャトン)はパートナーであるノラ(ソフィア・カーソン)の妊娠がわかり、父親になるにあたってどうしたらいいのかという不安を抱えながら出勤する。一念発起したイーサンはX線の検査員にしてもらうが、謎のイヤホンを渡され、突然テロリストらしい相手から脅迫を受けることになってしまう。ノラの命と引き換えに危険な荷物を通過させることを強要されるイーサンだったが…

 けっこう強引…というか、盛り上げるために筋が通らないことをしているところも多い。とくにバックヤードでテロリストから見えにくい場所に入るところでは「そこで文字を使って他の職員に通報できるのでは」とか、いろいろツッコミどころがある。個室での荷物検査のくだりは、ペンがあるならそうやって使うんじゃなくて文字を使って何かできそうなものだと思った。捜査官であるエレーナ(ダニエル・デッドワイラー)が全然ノヴィチョクを知らなくて検索しまくったりするあたりは非常に大げさに情報が表示されるので、まあ休みの日に家族で見ているお客さんは子どもとかもいるのでノヴィチョクに馴染みがないかもしれないが、警察官が知らないのはおかしい気がするので、むしろちょっと笑えるくらいだった。

 とはいえ、クリスマスで混雑しているところにテロリストが…というのは『ダイ・ハード』以来の伝統でもあり、ホリデースリラーのお約束みたいな感じで大目に見ることができたりもする。タロンはもちろん、捜査官のエレーナを演じるダニエル・デッドワイラーなど達者な役者陣が演技で盛り上げてくれるので、後で考えると「ちょっとおかしいのでは」と思うところも見ている間はそんなに気にならない。飛行機内ではなく、空港でTSA職員が活躍するという発想も面白いし、またけっこういろいろな人が経験したことがあるであろう帰省の空港混雑をネタにしているあたりも親近感が持てる。全体的にはとても楽しく見られるホリデー映画である。