ロンドンオリンピック2012サバイバルヒント集(1)交通・移動編

 7/27-8/12にロンドンオリンピックが、8/29-9/9にロンドンパラリンピックが開催されるので、本日から二、三回に分けてオリンピックやパラリンピックに向けてロンドンに来る人向けのサバイバルヒント集をゴールデンウィーク特別企画エントリとしてアップしようと思います。まあ来る気満々の人は既にツアーを予約したりしているかもしれないのでそんなに役に立たないところも多いかもしれないけど、まあ話半分に。私の知識だけで書いていて間違いや抜けがあるかもしれないので、補足や訂正を見つけた場合はコメントに書き込んで下さい。あと、なにぶん私は足も目も耳も手も全部一応ついているらしい人なのでパラリンピックに来る車椅子の方とか盲・聾の方には役に立たないかもしなくて、そのへんはちょっとカバーできないかも…


○英国への渡航
 今は格安航空券サイトがたくさんあるのでそういうところで調べたほうがたいてい安いです。私が今まで使ったことがあり、トラブルもなくオススメだったのは以下のふたつ。
edreams
gatewaylax

 航空会社については評判のいいところと悪いところがありますが、エディハド航空とかは法外な荷物の超過料金をとられたとかかなり悪い噂をききます。フィンエアーは時間もかからないし乗り換えのヘルシンキ空港でムーミングッズが手に入るので私のお気に入りです。

 ただ、はっきり行ってヒースロー空港からの入国は全くオススメできません。ヒースローの国境審査は今のところEU外の人の入国が2-3時間待ちでG8加盟国のハブ空港とは思えない修羅場です(大人は入国させてもらえないと困るから比較的大人しいんだけど、子供はそんなことかまわないで泣き叫んだり騒いだりするのでたまにほんとに修羅場)。ここ数週間ほどこんな入国審査の状況でオリンピックに対応できるわけがないという猛烈批判を受けて一応改善案が見当されているのですが、イギリスで事務のスピードがすぐ改善するなどということはあり得ないと思うので、ヒースローからの入国はできるだけ避けることをおすすめします。

 一番のオススメは日本とパリの往復航空チケットをとり、パリでうまいもの食ってからユーロスターの往復早割(70ポンドくらいから)でロンドンに来ること。ユーロスターが到着するセント・パンクラス駅はそこまで入国審査に時間はかからないし、街のど真ん中に到着するので移動も楽です。あとロンドンではロクな食べ物が手に入らないけどパリではまともなものが食べられるし…

 また、ヒースローのみならずガトウィックやスタンステッドに到着する場合でも空港バスや時間指定のある鉄道チケットは予約しないことをおすすめします。ガトウィックやスタンステッドでも混雑時は1〜2時間入国で待たされることがあるので時間指定のあるバスや鉄道のチケットは全部無駄になってしまいます。ヒースローは地下鉄があるし、スタンステッドやガトウィックはゲートを出たらすぐインフォメーションデスクやバスのチケット売り場があるので、予約しないでそこでチケット買えば大丈夫です。なお空港バスのクオリティはかなり悪く、時間通りには運行しません。



○ロンドン市内の移動
 ロンドン市内についたらとりあえずオイスターカードを買いましょう。これはスイカとかと同じタッチ式の交通カードで、これを持っていないでいちいちチケットを買うとなんか倍くらい料金をとられます。これを持っていると、チケット代が安くなるとか、一日パスを買わなくてもパスと同額以上乗ればそれ以上お金をひかれないとか、乗り越しても大丈夫だとか(ロンドン地下鉄は乗り越し精算ができません)、バスにでも地下鉄にでも鉄道にでも乗れるとか、いろいろ便利です。ただし日本のスイカに比べて接触不良は多いと思うので、前の人が改札を通ったあとゲートがしまってからしっかりカードを改札にあてるようにしましょう。

 ロンドン交通局はいろいろな交通手段を持っていますが、だいたいロゴの色で管理しています。

 観光客が覚えておいたほうがいいのは赤丸に青ラインのUnderground(地下鉄)、赤丸赤ラインのバスでしょう。地下鉄の入り口にはこの赤丸青ラインが、バス停には赤丸赤ラインのマークが必ずあります。バスに乗ることがなくてもバス停にはたいてい地図が貼ってあるので、観光客にはバス停はお役立ちポイントです。

 こういう交通機関はだいたいオイスターが使えます。テムズの川舟は紙のチケットがいると思うんですが、オイスターで買うと安くなるみたいです。あと、私はやったことないんですが自転車も借りられます。自転車置き場には近くに地図があることが多いので、道がわからなくなったらロンドン交通局の自転車置き場ににじり寄ってみましょう。


 ロンドンの交通にはゾーンというものがあり、ゾーン1が一番まんなか(日本でいう山手線の内側みたいなところ)、ヒースロー空港はゾーン6です。ゾーン1の中は治安もたいへん良好で夜まで賑やかだし、移動時間と交通費を考えてもゾーン1に泊まることをおすすめします。


・地下鉄(Tube)
 観光客はだいたい市内の昼の移動なら地下鉄だけで用が足りると思います。地下鉄路線で注意すべきなのはヒースローのターミナルに行くピカデリーライン(ターミナル番号によって降りるところが違ったり、ものによってはとまらなかったりするので注意)、行き先がものすごく複雑なサークル&ディストリクトライン(同じプラットフォームに発着するけど途中で分岐して明後日の方向に行く上、ケンジントンオリンピア行きはすごく少ないとかいろいろ難解)です。あと週末は地下鉄が部分的に動かなくなることがあるので超注意して下さい。事前に交通局のサイトで確認しましょう。

 地下鉄駅についてですが、アールズコート駅はヒースローからやってくるピカデリーラインとディストリクトラインの乗り換え駅(東京で言うと「蒲田」とかそういう感じの空港線が乗り入れてるでっかい駅)なのにエレヴェータ(イギリス英語ではlift)がまともに動いているのを見たことがありません。オリンピックまでになんとかしないとやばいと思うのですが、大荷物の方や車椅子の方、ご老人は注意して下さい(一応、エレヴェータのある駅が路線図に表示されているのですが、エレヴェータそのものが動いてないことがあります)。

 地下鉄のサービスはまあ最悪レベルです。乗り越し精算ができません(罰金とられたりします)。乗っている途中でいきなり電灯が消えて暗くなるのは日常茶飯事です。ダイヤどおりには全く動きません。ディストリクトラインとか支線の多いものは途中でトラブって止まっちゃって全員おろされたり、行き先が変わることもあります。

 なお、ロンドン地下鉄の呼び方はUndergroundかTubeです。Subwayアメリカ英語なので、ロンドンではSubwayと書いてあるところに歩いていくと暗くてじめじめした地下道とかに入ってしまうことがあります。観光客は土地勘がないのでへんなSubwayに迷い込まないようご注意下さい。


・バス
 バスのほうですが、日中は渋滞にはまるのであまりおすすめできないものの、夜はナイトバスといって一晩中バスが走っている(よってたぶん終電という概念がない)ので、夜のほうが使いでがあります。ナイトバスは昼のバスとは路線が違うことが多いので気をつけましょう(一日中同じ路線を走るバスには24と書いてあります)。間違うととんでもないところに行きます。また、クラブ通いの若者を中心に酔っぱらっている人が多いのであまり雰囲気はよくなく(たいしたことはないのですが、以前運転手がヘタクソだった時に泥酔した人たちが二階で足を一斉に踏みならし始めてマジ怖かったことがあります)、不安な人はタクシーのほうがいいでしょう。

 昼はダブルデッカー(二階建てバス)に乗りたいという人も多いのかな。ダブルデッカーの二階に乗って景色に夢中になっていると降りるバス停をまちがったりするかもしれないので気をつけて下さい。旧式のバス(ドアがついてないめんこいいやつ)は稀に入り口にオイスター読み取り機がないものがあり、ポータブルの機会で運転手さんが読み取ったりします。


・タクシー
 タクシーに乗る時はできるだけ黒くてでっかいBlack cabにしましょう。ロンドンの黒タクシーは世界一安全だというもっぱらの噂で、行き先の郵便番号を言うだけでどこにでも連れてってくれます。ただしお安くはないし、安全第一なので速くはないようです。空港からロンドン市内に乗り入れて渋滞にはまるとかなり時間がかかることもあるそうです。

 黒タクシー以外にミニキャブというのもあるのですが、これは予約なしに道でとめて乗ってはいけません。安全便利で定評のある黒タクシーに比べて、予約なしのミニキャブはぼったくりや暴力にあう確率が高いようで、ロンドン交通局からユーザに対して何回か「予約なしのミニキャブに乗らないで下さい、とくに女性の場合、運転手からの痴漢行為の被害にあったという事例が報告されています!」というメールがきたり、啓蒙ポスターが貼られたりしています。


○ロンドン外への脱出
 ロンドンから他の都市に飛行機で飛びたいという場合はイージージェットライアンエアーを使いましょう。EU圏内で格安航空券を使うと航空券が異常に安く、私はロンドンとシチリアを6000円くらいで往復したことがあります(東京から北海道の実家に帰る片道料金より安い)。ただし荷物の制限が厳しく、大きいトランクを持ち込むと超過料金がかかるし、チケットを事前に印刷していかないとやっぱり手数料をとられます。
 
 なお、最近はイージージェットライアンエアーに手数料なしで持ち込めるサイズのトランクをロンドン市内の露店とかでよく売ってます。私がラッセルスクエア駅の前の屋台で買った30ポンドの小トランクは放り投げられる、持ったままこける、壁との衝突などの度重なる酷使にもかかわらずまだサバイバルしているので、そこらの露店で「イージージェットにのれるトランクあります?」と聞けば割合まともなのが手にはいると思います。

 あと今年はタイタニックのメモリアルイヤーなのでベルファストタイタニック展を見てロンドンへ…ということを考えている方もいると思いますが、そういう時はやっぱりライアンエアーがいいのではと思います。私はベルファストは行ったことないのですがアイルランドは共和国のほうもとてもステキなのでベルファストに行くならダブリンとかゴールウェイとかにも是非どうぞ。アイルランドの共和国のほうからロンドンに飛行機で飛ぶ場合は国境審査はないようなもんなのでスムーズでした(ちなみにロンドンからダブリンに飛んだ時はなぜか国境審査の前でつかまってめちゃめちゃびびりました)。共和国側とUK側の移動は長距離バスが楽なようです。

 ナショナルレイルもけっこう発達しているので、一本でロンドンからスコットランドとかまで移動することもぜんぜん可能です(スコットランドイングランドと比べると明らかにヨーロッパっぽくてほんと外国です)。メガバスで早割だとグラスゴーまで5ポンドくらいで行けたりするらしいです(鉄道のほうが速くて快適ですが)。噂によるとスコットランドは独立したがっているらしいので、めんどうな国境審査が発生する前に行ってきましょう。

 経験上、鉄道を使えば片道二時間くらいまでのところならロンドンから往復できます。帰ってくるのが夜になりますがまあロンドンはゾーン1なら深夜まで賑やかなので気をつけていればとくに危険ということはないと思います。ただ、セントパンクラス駅の外は夜になると閑散としていて気に入らないという観光客も多いので、土地勘がなく不安だという人は駅の外には出ず中で地下鉄に乗り換えて移動するか、あるいは発着駅をパディントン駅とかロンドンブリッジ駅にしたらいいかもしれません。


 こんな感じで交通編はおしまい。明日は「観光編」、明後日は「食物編」をやろうと思います。