ひみつのエフェメラ天国〜銀座モダンアート「zine展3」

 銀座モダンアートで「zine展3」を見てきた。

 まずは銀座のギャラリービルとして有名な奥野ビルに初めて足を踏み入れる。

 リフトが手動開閉式。ヨーロッパのボロアパートみたい。

 空気が完全に昭和で、ほぼ全ての部屋に小さいギャラリーが入っている。壁には所狭しと美術関係のビラが貼ってあって、ほんとにこれが銀座のビルかと思うようなあやしい空間である。
 六階奥に銀座モダンアートがある。

 zineというのはFanzine(ファンジン、Fan+Magazine)の略で、自主流通の小冊子みたいなやつのことである。市場に出回らないのであまり広く人の目に触れることはないのだが、ものによっては非常にクリエイティヴで面白かったり、またまた後になってから価値が出るようなものもある(そういうものが古書店で扱われたりすることも)。この間、アリスン・ピープマイヤー『ガール・ジン 「フェミニズムする」少女たちの参加型メディア』を読んだばかりなので興味を持って行ってみたのだが、とても面白かった。一口にジンといってもかなりきちんとした地域ガイドみたいになっていて役所や文化施設で配布していてもおかしくないような詳細なものから、文章よりは工作の面白さをアピールした豆本とか仕掛け絵本みたいなもの、ラクガキみたいな素人っぽいものなどいろいろあり、出来もピンキリである。ギャラリーの方のお話をちょっと漏れ聞いたのだが、ジンのジャンル分けとか頒布方法というのはコミックマーケットとか文学フリマとかとはかなり違っていて非常に独特であり、入手が大変だったりするそうだ(そういえばデザインフェスタではジンを売ってる人がいた気がするな)。こういう市場に出回らないエフェメラを一度にたくさん見られるというのは楽しいしいい機会だと思うので、出版史とかに興味がある方は是非。

ガール・ジン 「フェミニズムする」少女たちの参加型メディア
アリスン・ピープマイヤー
太田出版
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