Get ye flocks off, get ye flocks off, honey〜『ひつじのショーン〜バック・トゥ・ザ・ホーム』

 『ひつじのショーン〜バック・トゥ・ザ・ホーム』を行きの飛行機の中で見た。 

 主人公はひつじのショーン。ショーンと仲間たちは農場主を眠らせてバカンスをとろうとするが、ひょんなことから農場主が寝ているトレイラーが暴走して街まで行ってしまう。農場主を連れ帰ろうとしたショーンたちも街に出かけるが、なんと農場主は記憶喪失を患ってショーンたちのことをすっかり忘れていた…ショーンたちは農場主と一緒の田舎での暮らしを取り戻すことができるのか?

 大きな街に行って戻ってくるというだけのたいへんシンプルな作りで、セリフがほとんどなくてサイレント映画みたいな演出で笑いを醸し出すようにしている。この間見た『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』なんかのプロットが異常に複雑だったことを考えると、こういうシンプルな話だけで笑わせてアクションでハラハラさせてちゃんと感動もさせるという作りはかえって洗練されて見える(既に何人がそう指摘している人もいるが、行って帰ってくるだけのプロットやセリフに頼らない作りは『マッドマックス怒りのデス・ロード』に似てるかもしれないが、あれよりもかなり笑いがある)。ストップモーションアニメで動き回る動物たちのかわいらしさと表情の豊かさは全く折り紙つきで、さらにストップモーションアニメの性質をふんだんに生かした突拍子も無いアクションや展開も笑える(ひつじたちが人間に変装して動物捕獲人を騙すあたりのドタバタぶりとかはなかなか実写では出ない味わいだろうと思う)。個人的には、ショーンがうちの田舎にいっぱいいるサフォークで、農場と街の関係もうちの故郷と旭川みたいな感じなのがウケた。

 ひとつ気になったのが、どういうわけだかショーンがバスで街に行く場面でプライマル・スクリームの'Rocks'が使われていたことである。全体的に音楽の使い方は上手で、ここも効いていたと思うのだが、何か気になる。あの意味はいったい…?ちょっと『ワールズ・エンド』の'Loaded'の使い方を思い出したんだけど、プライマル・スクリームって自由と冒険を表す音楽なんだろうか?