スラップスティックか?ドイツ表現主義か?〜『マッドマックス 怒りのデス・ロード エディション』

 『マッドマックス 怒りのデス・ロード <ブラック&クローム>エディション』を見てきた。
 
 既に初公開時、「ケアと癒やしの壮絶ノンストップアクション〜『マッドマックス 怒りのデス・ロード』」という長いレビューを書いているので別に話の感想自体はそんなに変わらないのだが、とりあえずモノクロになったということでヴィジュアルに非常に違いがある。とくに冒頭の台詞が少ない場面が違いが顕著で、マックスとウォーボーイズたちが追いかけっこするところはモノクロだとサイレントのスラップスティックコメディみたいに見えてなんだか面白おかしいし、またウォーボーイズたちの白塗りの顔はドイツ表現主義映画を思わせるところがあると思った。台詞が増えてくるとサイレントっぽい味わいが薄れてくるのだが、独特の美しさはやはりある。最後にマックスがフュリオサに輸血をするところは、『吸血鬼ノスフェラトゥ』の自己犠牲的な血の提供の場面を思い出した。

 ただ、やはり色が無いせいで情報が失われるところもある。水耕栽培の場面では緑が映らないので、そのあたりはいささか物足りなかったりもする。