ああいう店はいかにもノッティング・ヒルにありそうだが…『ノッティング・ヒルの洋菓子店』

 『ノッティング・ヒルの洋菓子店』を見てきた。

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 イザベラ(シェリー・コン)は親友サラとノッティング・ヒルで洋菓子店を開く予定だったが、店を手に入れた矢先に優秀な料理人であるサラが交通事故死してしまう。一時期料理学校に通ってはいたが、今は料理人はやめているイザベラは一度は店を諦めようとするが、サラの娘クラリッサ(シャノン・ターベット)に押し切られ、サラの母ミミ(セリア・イムリー)と3人で洋菓子店「ラヴ・サラ」を始める。そこにミシュランで星を持っているレストランにつとめているサラの昔の恋人マシュー(ルパート・ペンリー=ジョーンズ)が応募してきて…

 内容は単純なフィールグッドムービーという感じで、前半、とくにあまり情報が整理されずにちょっとテンポ感がなく進むところは良くないが、後半は比較的まとまっていると思った。私は学生時代にちょうどこのノッティング・ヒルに住んでいたのだが、オットレンギが監修しているというだけあっていかにもノッティング・ヒルにありそうな店ではある。ノッティング・ヒルに住んでいた時、うちの近所にあれにそっくりなPaul Rhodesというベーカリーがあり(今はないかも)、映画に出てきていたようなアメリカ南部風のピーカンタルトが売りだった。ノッティング・ヒルがあるケンジントン・アンド・チェルシー王立区はロンドンでもとくにイギリス生まれでない白人住民(つまりヨーロッパの他の国から来た人)が多く、もちろん非白人も多いので、ああいうふうに多国籍なお菓子を売ろうというのは土地柄に非常にあっている。

 ただ、日本人の『タイム・アウト』スタッフが食べたがっているのが抹茶ミルクレープケーキだというのはちょっとイマイチよくわからなかった。ロンドンに住んでいる日本人が食べたがる日本の菓子って抹茶ミルクレープですかね…というのがまずひとつである(和菓子なら大福とかわらび餅とか、洋菓子なら日本式ショートケーキとか日本式バウムクーヘンとかのほうが食べたくならないか…?)。それから、抹茶ミルクレープケーキって、味はともかくあの盛り付けで日本で育って人にウケるかなぁ…というのもちょっと思った。出てきているお菓子はどれも美味しそうだったのだが、ひょっとするとけっこうイギリス風にアレンジされていて、各菓子のふるさとの出身者からすると「あー、イギリス式にローカライズしたやつでこれはうちの地元式じゃないな」みたいに見える感じのものもあるのかもしれないと思った。