だいぶアップデートしてあるが…『ピーター・パン&ウェンディ』(配信)

アメリカ映画 『ピーター・パン&ウェンディ』を配信で見た。アニメの『ピーター・パン』の実写アップデート版で、映画館での公開はなく、Disney+でのみ配信である。

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 もともとの『ピーター・パン』(1953) は今見るとけっこうびっくりする…というか、子どもに見せにくいレベルでアメリカ先住民の描き方が差別的だし、また性差別的でもある。このためアップデート版を作る必要があったのだろう…というのは容易に想像できる。タイトルからして『ピーター・パン&ウェンディ』で(原作のタイトルに近づいている)、ウェンディがほぼ主役になるところがある。

 設定じたいは我々が知っている『ピーター・パン』だが、映画や原作とはかなり変わっている。まず、明確に性差別的な描写はほぼなくなっている。もとの作品ではティンカー・ベル(ヤラ・シャヒディ)はウェンディ(エヴァー・アンダーソン)にかなり嫉妬心があり、ウェンディがネヴァーランドに到着した時には矢で撃ち落とすようロストボーイズをそそのかすのだが、このちょっとヤバいんじゃないかティンカー・ベルは…と思わせる展開はなくなっている。全体的にティンカー・ベル周りのやたらとエモーショナルな展開はなくなっており、最後はティンカー・ベルとウェンディと女同士で互いを認め合っている。

 また、タイガーリリー(アリッサ・ワパナータ)がえらくカッコいい戦士になっており、いろいろウェンディに女友達として教えてあげたり、ピーターを助けたり、大活躍である。正直なところ、タイガーリリーが活躍するだけの話でもいいのでは…と思うくらいだった。終盤にはロストボーイズたちが去って行ってタイガーリリーが凜々しい姿で見送るというような展開があり、植民者が先住民に土地を返すみたいな展開で、ちょっとビックリした。

 全体的にけっこう悪くないとは思うのだが、ただ、私の好みとしてやっぱりどうも『ピーター・パン』が面白いと思えない…というところがある(ゼミで読んで評価のポイントはわかったのだが、個人的な趣味で面白いと思えなかった)。やっぱり大人になれない男性の話というのにあまり興味が持てないのかもしれないと思う。また、そこにウェンディのお話を接ぎ木しているので、バランスはそんなに良くないかもしれないというのもある。