事実をもとにした農場キャバレーのお話~『ショータイム!』

 『ショータイム!』を見てきた。実話をもとにしたフランスのコメディである。

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 田舎で農場をやっているダヴィッド(アルバン・イワノフ)は、家族の農場が破産寸前でにっちもさっちもいかない状態になっていた。ふらりと入ったキャバレーでボニー(サブリナ・ウアザニ)のパフォーマンスを見たダヴィッドは納屋でキャバレーを開いてお金を稼ぐことを思いつき、どうにかボニーを説得して農場キャバレーの準備を始める。苦労して出演者を集め、なんとか開幕にこぎつけるが…

 実話だということで、ちょっとビックリなお話である。キャバレーの名前がLes Folies Fermières(農場キャバレー)でちょっとLes  Folies Bergère(フォリー・ベルジェール)みたいだったり、笑えるところはたくさんある(ただしフランス風のお笑いで若干わかりにくいところもある)。一見したところ絶対当たるはずのなさそうな計画に見えるのだが、よく考えると出し物を見ながら地元の特産品を美味しく食べられますというのはけっこう魅力的な町おこしに思えるし、最後に出てくる屋外テントはいかにも夏にヨーロッパ人が好んで行きそうな楽しい遊び場に見えて、行ってみたいな…と思えるキャバレーになっている。

 楽しくて気持ちのいい作品ではあるのだが、ただたぶん予算の関係で安っぽいと思えるところもいくつかあった。まず、火事の特殊効果がいまどきもうちょっと…と思えるくらいはわざとらしい。また、これは私がこの種のショーをしょっちゅう見ているからかもしれないのだが、ボニーがやるパフォーマンスがどうもあんまり洗練されているように思えない…というか、けっこう垢抜けていない感じで、ダヴィッドがこれに惚れたというのがあまりピンとこないところもあった(ただ、田舎の場末のキャバレーでやっているショーとしてはピッタリなのかもしれない)。耳が聞こえないパフォーマードラァグクィーンに対して序盤で主人公たちが「こんなショー当たらないでしょ」みたいな顔をするところは、別に不愉快というほどではないのだがちょっとしつこくないか…と思ってしまった(終盤でこの人たちは大変活躍してこの偏見を吹っ飛ばすのでまあ別にいいのだが)。