一応、時代もの~『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』(ネタバレあり)

 『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』を見た。同名ゲームフランチャイズの映画化作品である。 

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 2000年くらいのアメリカの地方都市が舞台である。小さな妹アビー(パイパー・ルビオ)の面倒を見るため職が必要なマイク(ジョシュ・ハッチャーソン)は、いやいやながら閉鎖されたピザパーラー「フレディ・ファズベアズ・ピザ」の夜警の仕事につく。80年代には大人気だったが、保安上の問題で閉鎖されたこの店にはいろいろな子ども向けの仕掛けが残っていた。警官のヴァネッサ(エリザベス・レイル)がやってきて、マイクにいろいろこの店のことを説明してくれるが…

 2000年頃が舞台で、1980年代のことを回想する…ということで、妙に入り組んだ時代設定の時代ものである。若干1980年代ノスタルジアがある一方、責任ある子育てみたいなものがテーマになっているところは最近の『死霊のはらわた ライジング』とか『M3GAN/ミーガン』とか『コカイン・ベア』とかと類似していて、最近のジャンル映画ではこういう子育ての重要性を考えるのが流行っているのだろうか…と思ってしまった。しかもこの作品では、ピザパーラーのラスボスより前にいる悪役がアビーの親権を狙っているおばのジェーン(メアリ・スチュアート・マスターソン)で、こいつがアビーを愛しても気にかけてもいないのに嫌がらせみたいに親権だけを欲しがり、マイクに犯罪レベルの悪質な嫌がらせを仕掛けるというとんでもない(ある意味リアルな)人で、子育てに責任を持たないことのダメさが強く糾弾されている。ネタバレになるが、このジェーンはひどい死に方をするので、この作品は「嫌がらせや思いつきで子どもの親権を狙うようなヤツは死んで当然である」というけっこう強い政治的・教育的主張をしている…ような気がするが、私の気のせいかもしれない。

 このへんを別にすると、脚本はかなり強引だと思う。まず、ヴァネッサの話によるとフレディの店は80年代に子どもに大人気で地元では有名店らしいのいん、ヴァネッサと同じくらいの年と思われるマイクが今まで全くそのことを知らなかったというのが若干不自然だ。マイクは最近引っ越してきたとかいうことなのかもしれないが、それにしても前の仕事も同じ町でやっていたと思われるし、まったくフレディの店のことを聞いたことがないのはおかしいような気がする。また、ヴァネッサの行動もおかしい…というか、それだけいろいろ知っているならもっと危険を防ぐためにとるべき行動があったと思うので、いったいこいつは何を考えているんだ、無責任かアホなのでは…と思ってしまう瞬間が何度かあった。