面白いが、オチがちょっと安易~『M3GAN/ミーガン』(ネタバレあり)

 『M3GAN/ミーガン』を見てきた。

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 おもちゃメーカーで開発を担当しているジェマ(アリソン・ウィリアムズ)の姉夫婦が急に事故で亡くなり、ジェマは事故に巻き込まれたが生き残った幼い姪のケイディ(ヴァイオレット・マッグロウ)を引き取ることになる。子どもとの接し方がよくわからないジェマはケイディのためにAIを搭載した人形ミーガンを開発する。ケイディはミーガンにすっかりなつくが、いろいろなことを学習したミーガンは怪しい行動をするようになる。

 ホラーではあるのだが、基本的にはトラウマを負った子どもと、急にその保護をすることになった大人の関係についてのお話である。終盤、ちょっと駆け足だがそのへんを解決する展開がある。子どものトラウマに関するお話という点では『ババドック 暗闇の魔物』にちょっと似ているが、この作品ではむしろ養育の責任を逃れたい大人がモンスターを自ら作りだして子どもに与えているところがポイントだ。

 ミーガンは既に英語圏でゲイアイコンになっているらしいのだが、たしかにえらいキャンプなキャラクターである。実は私は子どもの頃に人形で遊んだことがなく、人形の類が苦手で人形が出てくるホラーなどはほとんど見ないのだが、これは別にそんなには怖くなくてむしろちっちゃいドラァグクイーンかディーヴァみたいに振る舞うミーガンが面白かった…ものの、野外学習の場面でミーガンが悪ガキに靴を脱がされるところだけすごく怖かった。この場面はちょっと大きくなりかけた子どもの残虐な性欲みたいなものが出ていてものすごく怖いと思う。

 最後にミーガンが自我に目覚めるところは正直ちょっと陳腐だと思った。AIが自我を…みたいなオチはありふれているので、むしろミーガンが最後まで自我に目覚めず、ケイディを守るために変な解釈で暴走しまくるのを描いたほうが現実のAIらしくて面白かったのではと思う。そもそもミーガンが会社で暴れ出すあたりから、AIと自我に関する理屈はちょっと緩くなっているな…と思った。