「MIDWEEK BURLESQUE vol.68 -The Enchanted April-」に行ってきた。出演者はMECAV、Baby Le Strange、Fifi Gfrast、RINGO☆凛子、Chloe the Sweetheart、Violet Eva、虹だった。Chloe the Sweetheartのマリリン・モンロー風のショー、Fifi Gfrastのミスコンで2位になって落ち込んでる人のショー、Baby Le Strangeの"I Want Candy"が早くなったり遅くなったりするのにあわせて動きのテンションが変わるショーなど、なかなか個性的なラインナップで良かった。ミッドウィーク・バーレスクはもう68回目だそうで、ずいぶん長くやってるし、これからもどんどんやってほしいなと思った。
一方で史実の裏付けがないところもたくさんあり、さらにそれがあんまりうまく話に貢献していない(このへんはニュース記事などでもいろいろ指摘されている)。まず、メアリとエリザベスは直接対面していないので、クライマックスの対面は史実ではないのだが、まあこれは盛り上げるために必要なのでいいとしよう。それからメアリのスコットランド英語がなんかちょっと変だと思ったのだが、フランス育ちなのでフランス訛りの英語を話したんじゃないのか…と思ったらやはりスコットランド訛りではないはずだという指摘が既になされていた。あと、メアリがたまに"Queen of Scotland"と名乗ることがあるのだが、この時代の正式な言い方は"Queen of Scots"だと思う。
ところが前日譚の『バンブルビー』は監督がトラヴィス・ナイトに変わり、Birds of Preyの脚本家であるクリスティーナ・ハドソンが台本を書いて、大変まともな映画になった。まず、アクション映画としてはロボット同士が戦う流れがちゃんとよくわかるように撮影・編集されているのが大きい。さらに脚本が圧倒的にまともで、高校生の青春ものという点では第1作の雰囲気に近いところに戻った一方、『アイアン・ジャイアント』とかジョン・ヒューズの高校映画とかの要素を取り入れて、チャーリーが父の死を乗り越えるまでの過程をじっくり描くようにしている。寒いギャグもなくなり、ちゃんとしたユーモアのあるノスタルジックな雰囲気で全体のトーンが統一されている。ヒロインのチャーリーは魅力的だし(ベクデル・テストは母親との会話でパスする)、バンブルビーは可愛くて、感じていることや考えていることがちゃんとわかるように描かれている。軍人のバーンズ(ジョン・シナ)やチャーリーのボーイフレンドであるメモ(ジョージ・レンデボーグ・Jr)など、脇を固める登場人物も芸達者を揃えており、とくにデセプティコンのシャッターの声をあてているアンジェラ・バセットはものすごく上手で、声だけなのに威厳とカリスマと悪役らしい恐ろしさを感じさせる。80年代の時代考証もしっかりしている。 ちょっと展開がゆっくりしているように見えるところが少しだけあるとか、チャーリーに女友だちがいなくて孤立しすぎなのになぜかメモだけはチャーリーにぞっこんだというあたりの説明が足りていない感じがするとか、ツッコむところがないわけではないのだが、全体的には笑うところと切ないところのメリハリが効いた演出で、不覚にも涙を誘われてしまうような感動的なところもある。今までのシリーズではなんでこれができなかったのか…
個人的にはスミスとリック・アストリーがほのかにディスられているところが良かった。発声機能を失ってしまったバンブルビーが、チャーリーに直してもらったテープデッキやラジオを使って感情を表現しようとするのだが、チャーリーがスミスの"Girlfriend in a Coma"やリック・アストリーの"Never Gonna Give You Up"(リックロールで有名で、『シュガー・ラッシュ:オンライン』でも使われてた曲)をかけるとバンブルビーがテープを吐き出すのである。私もスミスは嫌いだしリック・アストリーもあまり好きじゃないので、バンブルビーの音楽の趣味を高く評価する。