この日は朝から博物館島めぐりに出発。9.5ユーロの博物館パスを買って、まずはペルガモン博物館へ。
入り口にあるゼウスの祭壇。
ネブカドネザル王の作ったイシュタール門。なくなったタイルなどはあとで補充されたもの。
すんごく青い。とにかく青がきれい。
女神の使いのライオン。動物や花の模様も手がこんでいる。
門につながる行列の大通り。
イスラム美術コーナー。
修復中。
やたらモダンなものも。
ペルガモンはハイライトだけ見たのだが、非常にデカいとはきいていたものの、総合博物館である大英博物館に比べるとだいぶ小さくて少々拍子抜け。とはいえイシュタール門は絶対に見る価値がある。
次は新博物館のエジプト部門へ。ここの一番のお宝はネフェルティティの胸像。新博物館自体は全体的には結構すいていたのだが、ネフェルティティ像しか置かれていない「謁見室」が特別に用意されているのにそれでもこの像の前には人だかりができており、撮影禁止なのに勝手に写真をとって怒られるヤツがいたり、やはり大人気らしい(たいていの部屋は撮影できるのだが、ネフェルティティや劣化しやすい宝物類のみ撮影禁止)。
ネフェルティティは噂通りの大変美しい胸像だったのだが、驚いたのは全く理想化されていないところである。目の下にちょっとしたくまがあったり(王妃の仕事でお疲れなのか?)、顔立ちもとても個性的で細かいシワまでリアルである。片目が剥落している(もともとなかった説もあるらしいが)のだが、眼光も鋭くて強そうだ。パネルの解説に「王妃自身の個性とアーティストの独自性があいまって類いまれな傑作を生み出した」とかなんとか書いてあったが、たしかに彫像でこの個性を出す描写力はすごいと思った。保存も多少剥落してはいるがかなりよいし、見応えがある。
ただ、英語の解説にはネフェルティティが誘拐に近いような形でエジプトからかっぱらわれてきたことは適当にぼかしてあった。今ではネフェルティティはベルリンの多様性の象徴になっているらしいのだが(「ベルリン一番の美人は移民である」とかいう惹句とともにネフェルティティの顔が出るCMなんかがあるそうな)、誘拐されてきた像だからなぁ…なかなか政治的に微妙である。
この後、絵画館である旧ナショナルギャラリーというところへ。ここはかなりデカい絵画館で、カスパー・D・フリードリヒの絵がたくさんある部屋とかはよかったのだが、メンツェルっていう人のリアリズム系の絵ばっかりある部屋がたくさんあってそれは飽きたな…あと、他の二館に比べて全然観光化されてなくて、英語の地図が発見できなかった。
さて、疲れたのでアインシュタインカフェという高級カフェでおやつ。
このアップルシュトゥルーデルがすんごいうまかった!でかかったけどくどくなくて酸味がちょうどよく、バニラアイスの冷たさとよくあう熱さ。ちょっと高かったけど大満足。
その後、ちょっと東のほうにある同性愛博物館に移動。ここはジャン・ジュネの特設展示をやってるということで是非行きたかったのだが、行ってみたところ舞台写真とかがたくさんあってかなり良かった…ものの、英語どころかジュネの原語であるフランス語の表示すらなく、大変わかりにくかった。"Die Zofen"という舞台の写真がいっぱいあったのだが、なんか人ふたり出てるし複数形っぽいから『女中たち』かな…と推測したりしてた。カタログも出版していないそうで、ちょっと残念。
常設展示もかなり充実していて、こちらはどうにか英語の解説本だけはあり。古いポルノ写真みたいなものから人権運動の文書まで、いろいろなものがある。男性同性愛者中心でレズビアンやトランスジェンダーが少ないのがちょっと問題あるかとは思うが、情報じたいは多い。
展示によると、ナチスが同性愛者を迫害したのはよく知られているのだが、西ドイツではユダヤ人差別法は撤廃されたのに同性愛者差別法は撤廃されず、東ドイツでは同性愛はブルジョワの悪徳扱いされ…ということで、なかなか厳しいドイツの同性愛者たちの暮らしぶりなどが紹介されていた。
その後、何駅か東にあるMOTTOベルリン(foldと取引のあった本屋さん)をひやかしてきた。
私が出て行く時になぜかネコが入店。
なかなかめんこい。
この日の散策はこれでおしまい。かなり疲れたので、夕飯をちゃちゃっと食べて西に戻った。