2010年度映画ワースト3&昨年度の映画を少しだけ総括

 既に空中キャンプさんの企画に参加した時に2010年ベスト3のエントリは作ったので(こちら)、本日は2010年映画ワースト3を発表。

ワースト1:『ツーリスト』



ワースト2:『ハングオーバー
ワースト3:『ザ・キッズ・アー・オールライト』
次点:『ペルシャ猫を誰も知らない

 えーっ、ワースト1とワースト2の間がすごく離れているのは、1と2の間には埋めようもない深い差があるからである。ワースト2から次点までは出来自体には全く文句はなく、むしろどれも映画としては優れているし他人にすすめたい映画だと思うのだが、私としては話の方向性が全然気にくわないのに褒められすぎているように思えるからワーストに選んだ。しかしワースト1だけはここに書いたとおり全く誰にもすすめられない。これからこの映画を見に行くっていう人がいたら玄関に立ちはだかってやめるよう説得したいレベルでひどかった。

 『ハングオーバー』は公開運動を一応支持はしたし出来自体は非常に評価できると思うのだが、ミソジニー、アジア人差別、同性愛者差別などで笑いをとっているあたりが私は気にくわなかった。チャイナタウンで見たせいかもしれんけど、あのオネエキャラのチャイニーズマフィアと、日本の批評であれに触れてるのがすごく少ないことが気になったなぁ…

 『ザ・キッズ・アー・オールライト』も映画としてはよくできているが、郊外の中流上層カップルを主人公にしたハッピーエンドで終わる家族の価値映画とかうちは全然興味が持てないので…

 『ペルシャ猫を誰も知らない』は、これは非常に志が高い映画なのでみんな見に行ってバフマン・ゴバディ監督が次の映画を作れるようにしてあげてほしいと思うのだが、とりあえず出てくるバンドの中で主人公のバンドが一番下手というのと、ヒロインがどう見てもバンドから浮いている(シンガーソングライターをやってるべき音楽性なのになぜかバンドやってる)という点で音楽的チョイスがダメなんじゃないかと思ったから。いくら志が高くても、音楽映画なんだからこういうところで評価を甘くしちゃダメだよね?他のバンドはどれも非常に素晴らしいのだが…残念。

 なお、今年のベストのほうは上でリンクしたとおり一位が『ランナウェイズ』、二位が『(500)日のサマー』、三位が『メイド・イン・ダゲナム』。このほかに良かったのはティルダ・スウィントン主演のイタリア映画『私は愛』"I am Love"(Io sono l'amore)、 メアリー・エリザベス・ウィンステッドが超超超私の好みだったし話も面白かった『スコット・ピルグリムvsザ・ワールド』、久しぶりにワクワクする冒険ものだった『インセプション』、地味だがよくできたジョン・レノンの伝記映画『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』、ひどい邦題だがよくできたキーツの伝記もので変態ぶりも含めてジェーン・カンピオン完全復活だった『ブライト・スター いちばん美しい恋の詩』、コリン・ファースの芝居が素晴らしかった『シングル・マン』。あと、唯一映画館で見られた日本の新作映画『カケラ』もあたりだった。リバイバルでは『ハロルドとモード』も良かったし、キャサリン・ヘップバーン&スペンサー・トレイシーの競演作をBFIの特集上映で全制覇できたのが嬉しかった。この二人を超えるお似合いのカップルはしばらく映画史上にあらわれんかも。

 なお、『私は愛』はゴールデングローブ賞の外国語映画部門にノミネートされているのだが、日本未公開。とてもいい映画だったし日本でもシネスイッチ銀座あたりでやればウケるのではと思うので、公開されるといいと思うのだが…賞でも取れば公開されるかな?