にくさんがバーレスク論文の論文評を書いてくれました〜フォローアップとしてバーレスク動画など

 にくさんがうちのバーレスク論文の論文評を書いてくれました。

「ニュー・バーレスクを知っていますか?」
・北村紗衣「ニュー・バーレスク研究入門」『シアターアーツ』49号、2011冬、105–115頁。
http://theatrearts.activist.jp/2011/12/vol49.html#more

 いつもフィロソフィなにくブログが突然お色気モードですが、実はバーレスクの元祖はアリストファネスのお色気諷刺喜劇、中興の祖はセルバンテスの『ドン・キホーテ』だとも言われているので、バーレスクが古典ギリシャルネサンスの思想とかに関係ないわけではありません。ただ、私の論文にはアリストファネスとかは全然出て来てなくて、基本的に19世紀以降のストリップティーズに関する研究動向紹介論文です(にくエントリにはストリップティーズという言葉はいっぺんも出てきていないのですが)。

 ただ、この論文で扱っているのは主に小劇場とか一般的なクラブの舞台なんかでやるバーレスクショーだけで、ヘテロセクシュアル男性・レズビアン女性向けのストリップクラブに関する論文はレビューしてません(舞台でやるバーレスクショーとストリップクラブではファン層も研究動向も全然違うので、ちょっと一緒に扱うのは厳しいです)。基本エッセイレビューなので、バーレスクを見たことのない舞台ファンの方や、あるいはこれからパフォーマンスアート(とくにジェンダークィア系)やポピュラーカルチャーについて卒論・修論を書きたいと思っているような人の入門向けに書いたつもりです(せっかく奨学金をもらって来ているんだから、イギリスで見た新しい舞台について何か書いて還元しないとという気もあったし)。

でも本当にニュー・バーレスクに入りたいならやっぱりニュー・バーレスクに行かないといけないかもしれない。だって「観客とパフォーマーの相互反応が醍醐味の一部」なんだから。
http://d.hatena.ne.jp/nikubeta/20120121/p1

 とにくさんもおっしゃってますが、やっぱりバーレスクはちょっと自分で見に行かないとなかなか面白みがわからないところがあるかと思います。というのも、バーレスクのショーはかなり観客参加型のショーで、お客さんが拍手したり叫んだりするのにあわせてパフォーマーが服を脱いでいく(あるいは脱がなかったりする)、そのあたりのお客さんとパフォーマーの微妙なコミュニケーションの駆け引きが醍醐味のひとつだからです(見ているうちにお客さんが「お金を払って見る人」としてパフォーマーをコントロールしているのか、あるいはパフォーマーがある意味ひとりよがりな芸術家として踊りの技術でお客さんを一喜一憂させ従属させることでコントロールしているのか、だんだんワケがわかんなくなってくるわけですね)。映像や写真で見るだけだとただパフォーマーが服を脱いでいるだけで面白くなかったり、あるいは「きれいだな〜」だけで終わってしまったりするとこもあると思うので、映像で見ただけではつまんないと思った人が舞台を見て面白いと思ったり、あるいはその逆だったりすることもあるかと思います。

 とはいえ写真よりはまだ映像があったほうがわかりやすいので、以下に去年のロンドンバーレスクウィークで撮ったものを中心にいくつか参考動画を貼っておきます。

 男性バーレスクダンサー、スペンサー・メイビーの動画。メイビーは男性パフォーマーとしてはかなり人気があるんですが、途中で客を煽って「歓声がないと脱がねーぞ!」ってやってるのがわかるでしょ?

 監禁されていた姫様が逃げるという筋に「体型なんか気にすんな!」メッセージをこめた出し物。

 ケイト・ミドルトンのフリをした女性ダンサーがストリップする王室諷刺ネタ。

 空中ブランコを用いたバーレスクパフォーマンス。エッタ・ジェームズの"At Last"が使われてます。
 

 大人しめでクラシックなバーレスク。セピア色で撮ってみた。

 男性バーレスク。マジックとお笑いをやりながら脱ぐというもの。

 MtFトランスジェンダーの主人公が男性の格好をやめて女性の格好になることを決意するまでをコメディタッチで描いた出し物。


 上にあげた動画でなんとなくわかるように、ただ脱ぐだけじゃなくて5分〜10分くらい(だいたいポピュラーソング二曲ぶんくらい)でなんらかのコンセプトを表現したり、小話みたいなのを語るものが多いです。中にはひたすらキレイとか踊りがうまいというので見せるものもあるんだけど、私はセクシーなだけでなく笑えてとんがっている出し物のほうが好き。

 あと、私が撮ったんじゃない映像もいくつか貼ってみる。

 ロンドンバーレスクウィーク2011のティーザートレイラー。

LONDON BURLESQUE WEEK 2011 from Boris Conte on Vimeo.

 ゴールドフラップがイギリスのバーレスクスター、イモデスティ・ブレイズとコラボした"Train"のビデオ。前に「ストリップティーズを取り入れたミュージックビデオ:傾向と分類」でちょっと触れたけど。


 まあ私は今年もロンドンバーレスクウィークに行くので、その時また写真とかアップします。あと「ストリップティーズを取り入れたミュージックビデオ:傾向と分類」パート2エントリとか、あるいはUstreamで「バーレスクの歴史」をまたやってもいいので、何かご要望あったら言ってください。

 下にこのブログのバーレスク関連エントリで写真や動画があるものを貼っておくので、ご興味ある方はどうぞ。

ロンドンバーレスクウィーク2011一日目〜80分間世界一周
ロンドンバーレスクウィーク2011二日目 ボーイレスク
ロンドンバーレスクウィーク2011三日目前半 英国爆弾娘
ロンドンバーレスクウィーク2011三日目後半「イカれたキャバレー」
ロンドンバーレスクウィーク最終日ファイナルガラ
ロンドンバーレスクウィーク2011四日目、新人コンテスト
『さすらいの女神たち』に出てくるキャバレー・ニュー・バーレスク一座の公演を生で見てきたよ!/a>
ストリップティーズを取り入れたミュージックビデオ:傾向と分類
19日に軽くバーレスクについてのUstreamをしますので、その予習動画