Lukas Erne, Shakespeare as Literary Dramatist

 博論執筆中にとぎれとぎれに読んでいたLukas Erne, Shakespeare as Literary Dramatist(Cambridge University Press, 2007)を最初っから最後まできちんと通読した。これは近日中に新版も出る予定。

 20世紀後半のシェイクスピア研究はかなり舞台中心になっており、シェイクスピアは舞台のためだけに書いていて本を読む人たちのために書いていたのではない、という考え方が主流だったのだが、2000年以降くらいにもうちょっとバランスとれた見方でシェイクスピアを観客と読者両方のために書いてた作家として考えよう、みたいな動きがあり、この本はその潮流の代表的な研究書で基本文献である。どういうエディションがいつ出版されたかについての包括的な基礎調査が含まれている他、刊本を見ることで上演についてどういうことが推測できるか、とかいろいろな点で示唆的な本である。