POV方式(一人称の主観映像)で撮影されたミュージック・ビデオまとめ

 最近、一人称主観のPOV方式(カメラが登場人物の視点と一致する)で撮影されたミュージック・ビデオが増えてきてるように思うので、自分用にまとめてみた。


 プロディジー'Smack My Bitch Up'(1997)
 ※暴力注意!

 私が知ってる中では一番古いPOVビデオなのだが、これは泥酔した視点人物が酒のんで麻薬売ってケンカしてセックスして…というとんでもない内容で、しかし不愉快になるのを我慢して最後まで見るとすごい叙述トリックがあるので、とにかくミュージックビデオ史の中でも革新的なビデオだと思う。ちなみに一人称もの流行のはしりと思われる『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』は1999年なのでそれよりこっちのほうが早い。ちなみに監督はジョナス(ヨナス?)・アカーランド



シナモン・チェイサーズ 'Luv Deluxe'(2009)

 ボニー&クライドみたいな感じの話をPOVにして、かつ話が枝分かれするというもの。



 バイティング・エルボウズ 'The Stampede (Insane Office Escape)'(2011)& 'Bad Motherfucker'(2013)
 ※暴力注意

 ※超暴力注意

 バイティング・エルボウズはロシアのスラッシュバンドらしい。この二つは続きものなのだが、とにかく暴力的なんだけどたぶん低予算なのにすごくよくできてる。どっかの会社の社員が時空転移装置みたいなやつを盗み出して、反撃しようとする会社の人間を倒しながら逃走するというもの。パート2のほうがしょっぱなから暴力度が高いがたぶん金ないんだろうによくここまでがんばったなと思う。ビデオゲームとB級アクションの中間みたいな感じで、たぶんタランティーノとか最近のボンド映画を一人称でとったらこれに近くなるかも、という気もする。というか、ふつうのアクションシーンを一人称で撮ると自分のほうに血がふっとんできたり犬がとびかかってきたりしてすごく痛いというか怖いんだね…




 ビッグ&リッチ 'Party Like Cowboyz'(2012)

 これが今まで見つけた中のものでは一番お気楽なのだが、それでも泥酔度はけっこうすごい。内容はカウボーイハットにカメラをつけて、派手にパーティしまくるカウボーイのナイトライフを一人称で…というもの。


 微妙なもの
 ケミカル・ブラザーズ'Star Guitar'(2002)

 ミシェル・ゴンドリーがひたすら同じ位置から列車の外の風景をとってるというもので、ある意味POVといえる…かもしれんがあまり言いたくない。

 プライマル・スクリーム'Can't Go Back'(2008)
 部分的に殺人鬼のPOVっぽいショットがあるのだが、古典ホラーの撮り方を意識しているのでイマイチ視点が一定してない。しかもYouTubeにない。




 で、ここ最近のものとしてはけっこうPOVビデオが見つかったのだが、1997年から2009年までの間のビデオでめぼしいPOVのものがあまり見つからなかった。何か心当たりあります?

 あと、酒も暴力も犯罪も出てこないPOVミュージックビデオが全然ないのだが、なんか恋人と会話する様子をひたすら一人称視点で撮ってる似非ヌーヴェルヴァーグっぽいミュージックビデオとかないのかな…?