根付が登場する英語圏の小説・映画・ドラマ

 突然だが、根付は海外ですごく人気がある。

Manju: Netsuke from the Collection of the Ashmolean Museum
Joyce Seaman
Ashmolean Museum
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 ヴィクトリア&アルバート博物館大英博物館、ロサンゼルスのLACMAやニューヨークのMETなんかでは根付は日本美術部門の売りのひとつだし、私はあまり見た覚えがないのだがフランスやドイツの美術館でも根付のコレクションを持っているところはけっこうあったはずである。それぞれの美術館が気合いの入った根付だけのカタログを出しており、ミュージアムショップで大々的に売られている。

 人気の理由としてはいろいろあるのだろうが、とりあえず一般的に精密な日本の小物類というのは海外では土産物として人気がある。さらに日本人には当たり前であるストラップやキーホルダー、マスコットつきアクセサリ一般がヨーロッパなんかではそこまで発達しておらず、エキゾティックなアクセサリだということもあるんだろうと思う(全くの推測)。ストラップ類の一種で洗練された細工のある根付というのはいかにも日本風で珍しいアクセサリだし、場所をとらないので蒐集の対象として人気が出るのも無理はない。

 英語圏の作品には根付が登場するものもけっこうある(ヨーロッパの他の言語でもあると思うのだが、言語のバリアでちょっと不明)。ふと「英語圏の作品で根付が登場するものってどれくらいあるんだ?」と思い、ちょっとアマゾンなどを使って調べてみたので、自分用にそのメモをまとめておこうと思う。


エドマンド・ドゥ・ヴァール『琥珀の眼の兎』(早川、2011)
 2010年にUKでベストセラーになったノンフィクションで、これは私も読んだことがあるのだがかなり面白かった。作者であるエドマンドが、一家に伝わる根付コレクションの来歴を追いながらヨーロッパをまたにかけて活躍していたユダヤ系の富豪一族の数奇な運命を探るというもので、美術好きのみならず、家族史とかヨーロッパのユダヤ系文化人とかに興味がある人にも大変おすすめの作品である。表紙にかわいいウサギの根付が描かれている。

琥珀の眼の兎
琥珀の眼の兎
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エドマンド・ドゥ・ヴァール
早川書房
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・『ダウントン・アビー』シリーズ4、第5話(2013)
 グランサム先代伯爵夫人ヴァイオレットが大変高価な根付をなくして泥棒騒ぎが持ち上がるという場面がある。設定としては1922年のヨークシャの田舎で、貴族の女性が根付を大事にしてるというのはけっこう時代考証に基づいてると思われるのだが、保守的なヴァイオレットを演じるマギー・スミスが「根付がないの!」と慌てる場面はなんかそれだけで面白い。

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・『ハワイ5-0』シーズン8第14話、'Wooden Model of a Rat'(1975)
 見たことがないのだが、根付のコレクションの盗難が関わっているエピソードらしい。これはリブート版がすごくあたっているのだが、オリジナル版はどうも日本ではコンプリートDVDが出ていないようである。

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・Jonathan Magonet, Netsuke Nation: Tales from Another Japan (Troubador Publishing, 2013)
 根付を主題とする短編集らしい。書評を見た感じではなんか面白そうだ。

Netsuke Nation: Tales from Another Japan
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書評を書いている。ちょっとエロティックな話のようだ。

Netsuke
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・James Melville, The Ninth Netsuke (Collins, 1982)
 著者のジェイムズ・メルヴィルは大谷本部長シリーズという日本を舞台にしたミステリを書いている人らしい。いくつか翻訳もあるようだが、根付が出てくるこの作品は翻訳がないようだ。

Ninth Netsuke
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James Melville
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・Grady McCoy, The Netsuke Bear (America Star Books, 2007)
 なんだかよくわからないのだが、尼さんに惚れている元パイロットが主人公で、主人公の昔の同僚の彼女である日系の根付ディーラーが失踪するっていう話らしい。

The Netsuke Bear
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Grady Mccoy
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 この他にもThe Inscrutable Case of the Nobbled NetsukeとかNatural Sympathiesとか、根付が出てくる話はいくつかアマゾンにあったのだが、内容は不明だった。