ポッシュなUKを日本に呼んでくる〜桑原渉『阪急英国フェアの舞台裏』

 桑原渉『阪急英国フェアの舞台裏』(株式会社R.S.V.P.、2013)を読んだ。

阪急 英国フェアの舞台裏
桑原 渉
株式会社R.S.V.P.
売り上げランキング: 616,696

 梅田の阪急デパートで毎年実施している英国フェアについて、開催の準備や苦労などを販売促進部スタッフの桑原渉さんが10年間にわたって記録するというもの。それだけか!と思うかもしれないが、直接英国に渡って気むずかしいUKの職人さんやら専門家やらと交渉しながら売れ筋になりそうなものを選ぶ様子は山あり谷ありでけっこう面白い。とくにバースのサリー・ランズ(どのガイドにものってる人気店で私も行ったことあるが、いい店だった)に、「9時から18時までなどという長時間は働けない」と断られたという話はこれぞUKという感じで笑った(p. 139)。またまた、売れると思って出店してもらったものが売れず、売れないと思ったものが売れたりとか、そのあたりも意外性があって面白い。あと、英国の食事についてのセクションで「とにかく当たり外れが激しい」というのには完全に同意(p. pp. 146-47)。

 ただ、ひとつ思ったのは、こういうお茶とかクッキーとかけっこうポッシュなもの=UKだと思ってる人がけっこういるんだなーということである。ある人たちにとってはUK=紳士の国、お茶にお菓子、だが、別の人たちにとってはUK=サッカーだったし、またまたUK=毒舌コメディだったりUK=ロックの国だったりする。このへんの受容がどう重なっているかということには私もちょっと興味がある。