ブタの世界〜『ピーターラビット展』

 文化村で『ピーターラビット展』を見てきた。最初に私家版で出た『ピーターラビットのおはなし』を含めた原画や書簡などを多数展示しており、解説パネルもわりと充実している。ディーン・フジオカが出ている解説ビデオもわかりやすい。やたら「ビアトリクス・ポター™」みたいにトレードマーク表記が付くのが本当にウザいとか、ちょっとビデオの解説にすっ飛ばし気味のところがあるなど不満もあるが、基本的にはとても面白かった。

 一番面白かったのは、どうもポターの人生がこぶたの話(『こぶたのピグリン・ブランドのおはなし』や『こぶたのロビンソンのおはなし』)に反映されているのではとかいうことが書かれていた解説パネルである。本人は否定しているらしいのだが、自分を無意識にブタに投影していたとしたらポターはすごく芸術家として謙虚で誠実だったんじゃないかなと思った。ウサギはモフモフで可愛い動物だが、ブタは地味でブーブー文句を言っていてバカにされがちな家畜である。しかしブタにはブタの世界があるわけであって、お話の中でブタは恋をして駆け落ちしたり、遠くの島に逃げたりする。それが芸術家の自己像だったとしたらすっごく興味深い。