動き出す彫像〜ロイヤル・バレエ『冬物語』

 TOHOシネマズ日本橋でロイヤル・バレエ『冬物語』の上映を見てきた。シェイクスピアの『冬物語』をクリストファー・ウィールドン振付、ジョビー・タルボット作曲でバレエ化した作品である。

 バレエに詳しくないのであまり綿密な評価はできないのだが、セットや衣装から振付まで、大変凝った豪華な演目だった。照明や背景がとても巧妙で、レオンティーズの脳内で起こっているところは照明が暗くなったり、「クマに追われて退場」のところではプロジェクションで大きなクマが背景幕に映ったり、台詞を使えない部分をかなり照明や背景の表現で上手に補い、お客さんにわかりやすいようにしている。レオンティーズの嫉妬や、最後の和解の雰囲気などをうまく踊りで見せていると思った。とくに彫像のはずのハーマイオニが動き出すところはバレエならではだ。

 なお、この撮影はもともとは2月にライヴで行われていたものなのだが、途中に解説が入っており、観客は#ROHtaleというハッシュタグで幕間に感想を出すよう促される。最後のカーテンコールではこのハッシュタグで拾ったと思われる各ダンサーの踊りを褒めるツイートが、挨拶するダンサーにあわせて紹介される。この企画はなかなか面白いし、広報は優秀だなと思った。