キリスト教推しにちょっと違和感~OSK日本歌劇団『円卓の騎士』

 博品館劇場でOSK日本歌劇団『円卓の騎士』を見てきた。OSK日本歌劇団の公演を見るのは初めてである。

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 内容はだいたいアーサー王伝説の大枠に沿っている。アーサー王エクスカリバーを手にして王になってからグウィネヴィアと結婚するものの、ランスロットとグウィネヴィアの仲を疑うようになり、モードレッドに殺されるまでを描いている。ただ、人物を少なくするため、イグレインを湖の乙女と同じ人物にしたり、モルゴースを出さずにモーガンをモードレッドの母にしたりしている。

 

 話はわりと緩急があり、ケルト風な植物文様などをプロジェクションで配したセットの美術も綺麗だし、歌や踊りも悪く無い。ただ、とても違和感があったのが、やたらキリスト教推しであるとこである。グウィネヴィアが既にキリスト強化されたコーンウォールの出身で、愛と平和の宗教であるキリスト教をやたら夫やランスロットに伝えようとする一方、マーリンはドルイドの魔術を使ってアーサーや周りの女性魔術師たちを操り、戦争をけしかけようとするイヤな魔法使いである。女性たちもマーリンに操られっぱなしで、可哀想だがあまりいいところがない。全体的に雰囲気がちょっと『アヴァロンの霧』(これはキリスト教批判が入ったフェミニストアーサー王ファンタジーである)風だったりするのにアンチドルイドキリスト教推しなので、ここがちょっとだけ鼻についた。

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