なぜ我々は劇場でものすごくお手洗いに行きたい時に限って人に会うのか問題~『HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ』

 『HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ』を見てきた。

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 1991年の夏、父親を死んでショックを受けているダニエル(ティモシー・シャラメ)は、マサチューセッツ州ケープコッドにあるおばの家にあずけられる。あまり友達もできずに鬱々とするダニエルだが、マリファナ売りのハンター(アレックス・ロウ)とその妹(マイカ・モンロー)に会ったことから人生が急転する。ダニエルはハンターと組み、マリファナの売人として大儲けするようになるが…

 いろいろ真面目に青春映画を撮ろうと頑張っているのはわかるのだが、どっかで見たことのあるようなストーリーがいろいろ出てきて、そんなに面白くは無い。さらに、リゾートとはいえ噂がすぐ広まるような町でその設定は強引では…?と思うようなところもある。一応語りの枠があるのだが、それも機能しているとは言い難い。結果的に、若い役者陣の演技を楽しむみたいな映画になっている。ティモシー・シャラメがイケてない男の子の役で出てくる…というのは実に説得力がないのだが、相変わらず吐いたり倒れたり恋をしたり、全体的にシャラメの芝居で保っているところがある。アレックス・ロウやマイカ・モンローも演技はすごくちゃんとしており、この3人がちゃんとしているのでなんとか見られるといったところだ。

 ただ、一箇所えらいリアルな場面があり、そこだけは非常に気に入った。ダニエルがハンターとドライブインシアターで『ターミネーター2』を見ている場面があるのだが、いいところでダニエルがすごくお手洗いに行きたくなり、車から飛び出てお手洗いに行こうとする…ところでちょっといろいろ事情があって性的な緊張感が満ち満ちた関係になっていたマッケイラ及びその友人たちとハチあわせしてしまうのである。私も映画館や劇場でものすごくお手洗いに行きたい時に限って人とハチあわせすることが多いので、この場面のシャラメのリアルな演技にものすごく納得した。ここだけは大変良い。