あまりにもせわしないのでは…『ハロウィン KILLS』(ネタバレあり)

 『ハロウィン KILLS』を見た。

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 メインのお話は2018年に出た『ハロウィン』終了直後から始まる(第一作である1978年の挿話もあることはあるのだが)。あそこでローリーが家ごと焼いたはずのマイケル・マイヤーズは、基本的に不死身なのと、また公的サービスがボロボロのアメリカなのになぜか消防士は頑張っているせいもあってけっこう元気に生きのびてしまい、すぐ復活してハドンフィールドの町の人々を血祭りにあげる。カレン(ジュディ・グリア)は大ケガをして病院に入った母ローリー(ジェイミー・リー・カーティス)を守ろうとするが、ローリーの孫娘であるアリソン(アンディ・マティチャック)は、今度こそ殺人鬼をやっつけようと覚悟を決めた町の人たちとマイケル捜索に出る。

 けっこう重要そうな感じで出てきた人たちも含めてバンバン人が死ぬ、潔いと言えば潔い展開と、一方で病院では大パニックが発生して無実の人が被害を受ける悲惨な展開があり、見ていて飽きるような映画ではないのだが、台本はちょっとあまりにもせわしないのでは…と思った。何しろ前作の大暴れが終わった直後から始まっており、スクリームクイーンであるローリーはケガであんまり動けない状態なので活躍できない。たぶんこの作品のスタッフが『ハロウィン』に期待しているものと私が期待しているものが違っていているからなのだろうが、私はどちらかというとローリーがマイケルと戦うところを見たいので(この作品のスタッフはマイケル・マイヤーズ無双が見たいんだと思う)、その点では今作は個人的にはあんまり面白いお話ではなかった。消防車に向かってやめろー!と叫ぶ序盤のローリーとかはまったく笑ってしまったのだが、その後の生煮えなロマンス展開とかもあんまりぱっとしない。

 あと、個人的に非常に気になったのは、どういうわけだか途中で殺されるカップルがハロウィンの夜なのにボジョレー・ヌーヴォーを飲もうとしているというところである。ボジョレー・ヌーヴォーは11月の第3木曜日から販売される新酒なので、10月31日に飲めるわけはない。ひょっとしたら前の年の新酒を飲み忘れて放置しているようなぼーっとしたカップルだから最初のうちに殺されてしまったということなのかもしれないが、それよりもあんまりお酒や食べ物に詳しくない人が台本を書いたというほうがありそうな気がする。