こんなにテンションの高いヘイスティングズは珍しい~G.Garage///『リチャード三世』

 すみだパークシアター倉でG.Garage///『リチャード三世』を見てきた。河内大和演出・主演である。

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 主役をはじめとしてカクシンハンの役者陣がかなり出ており、音楽もカクシンハンでお馴染みのユージ・レルレ・カワグチの生演奏である。プログラム(無料、けっこう充実している)に書いてあるように、河内大和にとってはこれが5回目のリチャード三世だということで、慣れた演目をかなり同じキャストで再現しているような印象がある。このため、全体的にはパイプ椅子が出てこないカクシンハンという感じである。

 エネルギッシュだし、面白い上演であるのは間違いない。主演の河内ははまり役だし、アンとマーガレットが真以美による1人2役で、拡声器で演説しながら先王ヘンリーの遺体を担いでいろいろな町で抗議活動をしているらしいアンと、血にそまった白いスーツに能面のような顔で呪いを吐くマーガレットの対比も良い。利発さを警戒されて非業の死を遂げたヨークと、最後にリチャードを打ち負かしにやってくるリッチモンドも大洞雄真による1人2役で、無垢だが利発な子どもが復讐に来るみたいなキャスティングで気が利いている。また、私がこれまで見た『リチャード三世』の中ではヘイスティングズ(白倉裕二)のテンションがちょっと見たことないくらい高く、笑えるところもたくさんあるのだが、これは政敵に目をつけられて煙たがられそうだ…と思った。

 いろんな工夫が詰め込まれたプロダクションではあるのだが、一方でいくつかジョークが空回りしてしまったり、細かいモチーフ同士が有機的につながらなくなったりしているところもある。また、やはりカクシンハンっぽすぎるのはオリジナリティに欠ける印象を与えるな…と思った。既にカクシンハンがやったことのある演目ではないものをやったらいいのではないかと思った(たとえば『間違いの喜劇』とか『コリオレイナス』とかはどうだろうか…)。

 ↓なお、id:tmk0203 さんのこちらのレビューはかなり舞台の様子がよくわかるし、私も全体的に同意という感じだった。

tmk0203.hatenablog.com