ささくれだった東京のハムレット~カクシンハンリーディング『ハムレット×SHIBUYA ~ヒカリよ、俺たちの復讐は穢れたか~』

 渋谷でカクシンハンリーディング『ハムレット×SHIBUYA ~ヒカリよ、俺たちの復讐は穢れたか~』を見てきた。これを見たのは初めてである。

 

 話はあまり直線的に進まないのだが、おおまかにはアキハバラとシブヤという現代の青年を中心に、渋谷のスクランブル交差点を主要舞台として展開する物語である。親子関係の問題、車両突入テロ、恋愛、劇中劇などなど盛りだくさんだ。狭いスペースで行われたリーディングだが、真ん中に渋谷のスクランブル交差点を模した簡単な台を置き、そこに紙の人形などを置いてちょっとしたアクションを行うなど、なるべく動きが増えるように工夫している。 

 

 全体としては『ハムレット』にちょっと寺山修司っぽい(これはたぶんけっこうな数のお客さんが感じたのではと思う)母への執着を組み合わせた作品である。良い意味でウザくてささくれだった雰囲気の芝居で、横断歩道が重要であるところは新しいほうの翻案ではないカクシンハン版『ハムレット』とも共通するモチーフを使用している。リーディングということで役者陣の声の美しさが際立つところがあり、とくに河内大和の声量と台詞回しには関心した。笑うところもけっこうたくさんある。

 

 来年、アーデンシェイクスピアから英訳が刊行されるらしいのだが、是非日本語の台本も出てほしいと思う。ちょっと台本じたいを読んで考えたいなと思うところがたくさんあった。