本公演ではどうなるのか?戯曲リーディング『ハムレット』

 世田谷パブリックシアターで『ハムレット』リーディング公演を見てきた。芸術監督の野村萬斎が退任する直前の公演で、萬斎が演出の他、ハムレットの父の亡霊や劇団の座長の役をつとめ、息子の野村裕基(能でない舞台はこれが初めてとか)がハムレット役をつとめている。

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 リーディングだが動きはあり、四角い舞台に数段程度の移動できる小さな階段を置いただけのセットで、台本を手に持って動きながら上演を行っていた。場面転換に応じて段は動かしている。亡霊が出てくる場面では舞台後ろの高い層も使っていた。

 この後、本格的な公演にすることを念頭に置いて作られており、動きなどはけっこう出来上がっている。能みたいな亡霊や、人形劇で行う劇中劇などがかなりお芝居のトーンを決定しており、様式的・演劇的にしっかり見せるところもあれば、急にそうした「これはお芝居です」という建前を振り切ってお客さんを笑わせるところもある。ただ、全員台本を手に持ってやっているため動きにくそうなところもあり、さらにマスクをつけた状態で台本を読むときに下を向くとけっこう台詞が聞こえづらくなるところがあった。これも関係しているのかもしれないが、音楽の入れ方も含めて音のほうについてはもうちょっと練ったほうがいいかもと思えた。

 野村裕基ハムレットについては、萬斎ハムレットの影響がどうしてもかなりあるので、そこはとても大変だろうなと思った。あと、これは短いリーディング公演で人数が少ないからかもしれないのだが、ローゼンクランツとギルデンスターンまわりは基本的にカットである(ここは「ロゼギルを直接出さないならその台詞もカットしたほうがいいのでは」と思うところが一箇所あり、切るならもっとばっさり切ったほうがいいかもしれない)。本公演ではロゼギルが出るのか、カットなのかがとても気になった。全体的に、「ここはいったいどうなるのだろう…」と興味を惹かれるところが多く、本公演を早くやって欲しいと思った。