バレエが入る珍しい上演~『オテロ』(配信)

 アーリドラー歌劇団オテロ』を配信で見た。新国立劇場での上演を記録したものである。指揮は山島達夫、演出は木澤譲である。

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 舞台奥から前まで真ん中に白い長方形の絨毯が敷かれており、ソーシャルディスタンスのこともあって舞台を広く使う演出である。セットは絨毯も含めて基本的に白い布が使われており、たまに布がかかった台が出てきたり、上から縦に白い布が下りてきて柱みたいな効果を出している。この舞台を広く使う演出は良いのだが、一方で配信と格段に相性が良くない…というか、映像にちゃんと字幕がついておらず、ライヴ上演時に実際に舞台の上側に表示されていた日本語字幕がうつっている時しか字幕がない。字幕が映るように舞台全体を撮っている時はイマイチ舞台奥が見づらくなり、一方クロースアップになると全く字幕がないので歌詞がわからないということで、正直なところなんとかして映像用の字幕をつけるべきではないかと思った。

 この演出が珍しいのは、ふつうはカットされるバレエをやっているということである。フランス向けにバレエを入れたバージョンがあるそうなのだが、ほとんど上演されないそうで、初めて見た。他の部分とバレエが合っているかというとそうでもないような気がするのでふつうカットされるのは納得だったのだが、全体的にけっこうダンスが組み込まれている演出にして統一感を出そうとしているのは良いと思う。