台本が好きになれなかった~『キングアーサー』

 東京芸術劇場で『キングアーサー』を見てきた。ドーヴ・アチアによるフレンチミュージカルである。

 だいたいアーサー王伝説ベースである。アーサー(浦井健治)がエクスカリバーを引き抜いて王になるところから始まり、王位を狙うライバルのメレアガン(伊礼彼方)や王の異父姉モルガン(安蘭けい)などの確執や、アーサーとグィネヴィア(宮澤佐江)とのロマンス、グィネヴィアとランスロット(平間壮一)の不倫などが描かれる。曲はわりとロック調でダンスもある。

 大きな光る円卓が空中から出てきたり、装置を使って面白く見せているところなどはけっこうあるのだが、あまり台本が好きになれなかった。そもそもモルガンがアーサーを付け狙う理由がえらく強引…というか、そういうことでわだかまりがあるなら生まれてきてしまったものはしょうがない弟のアーサーよりも、先代の王の性暴力に手を貸したマーリン(石川禅)を最初に付け狙って復讐すべきではと思った。出てくる女性はやたらと復讐に燃えている魔女(モルガン)か助けを待つ手弱女(グィネヴィア)で、今の時代にこの台本は古いと思った。ただ、基本的にモルガンとメレアガンの悪役陣のほうがだいぶ面白い…というか、見せ場があり、とくに伊礼メレアガンはかなり難しそうな歌をきちんと歌いこなしていて良かった。