音楽ドキュメンタリーとしてはかなりイマイチ~『ミスタームーンライト〜1966 ザ・ビートルズ武道館公演 みんなで見た夢』

 『ミスタームーンライト〜1966 ザ・ビートルズ武道館公演 みんなで見た夢』を見てきた。ビートルズの武道館来日について、関係者や当時のファンなどに取材したドキュメンタリーである。

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 東芝のスタッフからファンクラブの人、財津和夫みたいな影響を受けたアーティストまで、いろいろな人にインタビューしていて人選はけっこういいのだが、音楽ドキュメンタリーとしてはそんなに出来が良くないと思う。全体的にやや掘り下げ不足という感じもするのだが、それ以前に単純にインタビューの編集のやり方があんまり良くない。おそらくたくさん話したのをけっこうカットしているのではと思うのだが、インタビューを受けている人の回想について、聞いていて「ん、それどういう状況?」と具体的に想像しづらいところがいくつかあった。東芝ビートルズ担当者が、なんかリクエスト番組みたいなので電話をとる女子学生に仕込みをした…みたいな話をしていたのだが、ここの説明は何をどうした結果どのようなことが起こったのか、少なくとも私は一回聞いただけでは全然具体的にわからなかった。あと、ビートルズヒルトンホテルに泊まっていた時の回想についても、いきなりすきやきが出てきたりとか(ホテルですきやきを頼んでルームサービスで食べたってことか?)、いろんな話を盛り込みすぎて状況じたいの説明がやや不足している気がする。

 また、途中で「映像はイメージです」みたいな感じで差し挟まれる、制服にセーターを着た現代の女子高生の映像は一切、要らない…というか、なんでこんなダサい映像が必要だと思ったのか、ちょっと理解に苦しむ。しょっぱなからどう見ても現代のスズナリにわざとらしくレトロなビートルズの看板がかかっているのを女子高生が目撃するという、よくわからないシチュエーションの映像が出てくる。ランダムに挿入される渋谷のスクランブル交差点とかの映像も全く要らないと思う…というか、ビートルズの音楽が現代に通じる面白さを有していることなんていうのはわかりきったことなんだから、こういう無関係な現代の映像は全部カットして、もっとインタビューを長めにわかりやすく編集すべきだっただろうと思う。