女の子だけの真面目な『アメリカン・パイ』~『ガール・ピクチャー』(試写)

 アッリ・ハーパサロ監督『ガール・ピクチャー』を試写で見た。

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 ミンミ(アーム・ミロノフ)と(エレオノーラ・カウハネン)は同じスムージー店でバイトしている友達である。ロンコはどうも男の子と一緒に過ごしてもドキドキや快感がなく、性的快感を求めていろいろ冒険してみることにする。一方でミンミはフィギュアスケート選手のエマ(リンネア・レイノ)と出会い、恋に落ちる。

 女の子3人の、いろいろ不格好で浮き沈みもありつつ、わくわくするようなロマンスとセックスをめぐる冒険を描いた作品である。ものすごい大事件が起こるわけではないのだが、それぞれのキャラクターが生き生きしているので応援したくなるような気持ちが湧いてくるところがあり、後味も爽やかだ。テーマがわりとクィアなのと、女の子主演の北欧映画なので深刻な映画に見えそうなのだが、真面目なテーマやティーンが抱える問題もとりあげつつ、設定じたいは『アメリカン・パイ』など気楽なティーン映画にけっこう近いと思うし(あれよりはずっと真面目だが)、『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』などにも似ているところがある。女の子たちの着ている服なども可愛いし、またバイト先のスムージースタンドが絶妙に北欧っぽい一方、「あー、こういう変な名前の飲み物が出てくる店、モールにあるよね…」みたいなところもあって面白い。ミンミとエマのロマンスは途中でかなりいたたまれない感じの展開になるのだが、全体としては大変ロマンチックな描き方になっている。とくにエマがスムージー店に押しかけてくるところは私が最近見た映画の中でもとくにロマンチックだと思ったのだが、それを見たロンコが刺激されてちょっと不器用なやり方でスムージー店のお客さんを口説いてしまうところもコミカルだ。