殺陣はいいのだが…シアターグリーン『ハムレット』

 シアターグリーンでオールアクトカンパニー『ハムレット』を見てきた。石山雄大演出によるものである。

 わりとオーソドックスな演出である。後ろに柱がある宮廷っぽいセットなのだが、こういう小さい舞台で柱をたくさん設置すると舞台が狭くなる上、ちょっと安っぽい感じに見えるのでやめたほうがいいのでは…と思った。また、衣装はけっこう凝っているのだが、オフィーリアのドレスは上半身が光りすぎてちょっとくどい気がした。

 全体的に役者陣が長いセリフを扱いかねている感じで、わりとリズム感に欠けるなぁと思うところがけっこうあった。とくにオフィーリアのお葬式の場面ではハムレットやレアティーズはもっと動きながらセリフを言ったほうがいいように思うのだが、舞台が狭いのもあいまって、止まってセリフを言って終わると動く…みたいな感じになってしまってあまりダイナミックさがないと思った。また、やたらとドラマティックな音楽をかけるのはかえって古くさくなるからやめたほうがいいと思うのだが、とくに独白の終盤に音楽をかけるのはやめたほうがよい。そもそもセリフをちょっと扱いかねている感じがあるので、それに音楽をかけるとなんか余計調子外れな感じがしてくる。

 ただ、最後の殺陣はけっこう良かった。ちゃんとセリフにあるように長い剣と短い剣を両方使ってフェンシングをしているし、動きもダイナミックだ。ただ、フェンシングにやたらと力を入れているため、ガートルードが殺された時点で毒杯が引っ込んで、ハムレットはクローディアスを剣で刺すだけになるのはけっこう省略しているなと思った。