打ち切られる連帯~『Rodeo ロデオ』(ネタバレあり)

 ローラ・キヴォロン監督『Rodeo ロデオ』を見てきた。

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 貧しい若い女性ジュリア(ジュリー・ルドリュー)は家族とうまくいっておらず、ネットで見かけたバイク動画に魅せられてバイカーコミュニティに入っていく。大胆な性格でバイクの運転もすぐに上達するが、コミュニティは盗難などの非合法行為に手を染めており、ジュリアも自分の価値を証明するためどんどん犯罪に深入りしていくことになる。さらには男ばかりのコミュニティで嫌がらせもあり、なかなか思い通りにはすすまない。

 ジュリアがバイクコミュニティで自分のやることをどんどん発見していく様子は明るさとか爽快さもあるのだが、バイクコミュニティが犯罪ばかりやっていて、しかも男性中心的で危険なことをやるのが価値とされているというところがなかなか複雑だ。運転技術があれば出世できるという点では『ワイルド・スピード』シリーズに似ているところもあるのだが、車コミュニティをある意味では理想化しているワイスピに比べると、この作品は徹底してリアルな分、救いがないし、ジュリアの人生の好転が実は暗転なのでは…と思えてくるあたりがつらい。ジュリアが束の間得た女性同士の連帯もあえなくつぶされるし(ジュリアはそれでも連帯を守ろうとしたわけだが)、終わり方はかなりのバッドエンドである。ヒロインの魅力と演技は抜群で力のある作品だが、このつらい展開はかなり好みが分かれるだろうな…と思う。