女性の台詞の翻訳が良くない~『ダブリンキャロル』

 劇団昴、コナー・マクファーソン作『ダブリンキャロル』を見てきた。村田元史演出・翻訳によるものである。

 基本的にはダブリンを舞台にした会話劇で、クリスマスイヴの1日が舞台である。酒浸りで家庭を崩壊させたジョン(金子由之)と、ジョンが働いている葬儀社の手伝いにきたマーク(加藤和将)、ジョンの娘メアリ(新藤真耶)の3人の会話だけでできている。葬儀社の社長は重い病気で入院しているらしい上、ジョンの妻も重病で入院、マークは恋人とトラブっている。あまりハッピーではないクリスマスだ。

 しょぼくれた調度品の感じなどはとても良く(去年の『』も美術はうまくできていたたと思う)、ジョンとマークの演技も良かったと思うのだが、メアリが急に役者の都合で交代したそうで、あまり演技が出来上がっていない印象を受けた。また、とくにメアリの台詞に感じたのだが、翻訳がかなり不自然…というか、わざとらしい女言葉だと思った。アイルランドの庶民の若い女性はこんなふうにしゃべらないでしょ…と思う。あと、話としては悪くはないものの、私は『堰』や『海をゆく者』のほうが芝居として工夫があって好きである。