けっこう観光映画~『アデュー・フィリピーヌ』(試写)

 ジャック・ロジエ監督の『アデュー・フィリピーヌ』(1962)を試写で見てきた。7月前から始まる特集上映「みんなのジャック・ロジエ」の試写である。

 パリに住んでいる徴兵を控えた青年ミシェル(ジャン=クロード・エミニ)が、親友同士であるジュリエット(ステファニア・サバティニ)とリリアーヌ(イヴリーヌ・セリ)に出会う。ミシェルは仕事をクビになり、徴兵前にコルシカ島にバカンスに行くが、女の子ふたりもコルシカ島にやって来る。女の子ふたりとミシェルの関係は微妙な感じになっていくが…

 エリック・ロメールを俗っぽくしたみたいな感じ…というと語弊があるかもしれないが、後半はけっこうちゃんと観光映画である。正直、1960年代初めにどういう客層がフランスでこの映画を見ていたのかよくわからない…というか、風景や音楽の使い方などはけっこうオシャレ若者観光映画みたいな感じなのに、話はしょうもないし、ちょっと引いた感じで撮っている。ミシェルは煮え切らない若者でどこに魅力があって女の子ふたりがくっついてくるのかサッパリわからないが、まあフランス映画ではそういう青年がけっこうモテている気がするので、そういうもんだと思って見るほかないのだろうと思う。