相変わらずふしぎな芝居~『愛について語るときは静かにしてくれ』

 コンプソンズ『愛について語るときは静かにしてくれ』を下北沢のOFF・OFFシアターで招待で見てきた。

 舞台は人気配信ゲーマーの小春(辻凪子)の部屋である。凪子は全然映画を撮っていないらしい映画監督志望のスズ(金子鈴幸)と付き合っているのだが、喧嘩が近所迷惑なので隣人であるエロ漫画家のカノン(畦田ひとみ)は迷惑している。小春には大介(細井じゅん)という生き別れの義理の弟なるものがいたり、まい(宝保里実)という友達がいたりするのだが、このまいは小春に薬を供給していたりして大変あやしい人物で、どうも小春を監視する仕事をしているらしいことがわかってくる。さらに中盤から、この世界はどうも2052年のポストアポカリプス的な世界であり、小春はゲーマーと名乗っているが実は戦闘用ドローンの操作員だということがわかってくる。

 コンプソンズらしく、相変わらずいろいろ不思議な話である。たまに意味がわからないが、諷刺的でもあるし、笑えるところはたくさんあり、けっこう面白い。サブカルネタやら下北沢ネタやらがこれでもかと詰め込まれており(宇野惟正の東京の女の子発言まで登場する)、スズは「ペドロに投票を」Tシャツを着ているし、大介はサブカルポッドキャストをやっている。大介と小春の親同士が不倫関係にあってポッドキャストをやっていたとかいう設定があるのだが、この一緒にポッドキャストをやるのがなんか登場人物によってロマンスや友愛の証として位置づけられるのは『ユー・ピープル』とかでも出てきて最近の流行りなのかな…と思う。ポッドキャストというのはけっこう新しい技術だとは思うのだが、生身の声のやりとりが発生するというところが広い意味でロマンティックにとらえられやすいものであり、また演劇と共通性があるところなのかもと思う。