劇団員の短編4本をまとめた意欲的な試み~コンプソンズ『イン・ザ・ナイトプール』(配信)

 コンプソンズ『イン・ザ・ナイトプール』を配信で見た。座付き劇作家の金子鈴幸が書いたのではなく、劇団員が書いて演出する短編を4本まとめたものである。どの芝居にも一応、ナイトプールに関連したものが出てくる。それぞれの作品でわりと味わいは違うが、なかなか面白い試みだと思った。

 「ホットライン」(宝保里実作・演出)、「confession」(細井じゅん作、演出)、「走光」(鈴木啓佑作・演出)、「東京」(大宮二郎作、演出)の4本で、最初の2本は会話劇、後の2本はSF…というか奇妙なスタイルの作品である。「ホットライン」は非常に不穏な会話劇で、なんかちょっとクィアな感じもする。「confession」は日本の「告白」文化を緩く諷刺したような感じの作品である。「走光」はタイムリープものなのだが、これは途中までは良かったのだが、ちょっと終わり方が予定調和っぽくてありふれているような気がした。「東京」はなんで今回のコンプソンズの出し物が座付き作者の作品ではなく、劇団員の短編になったのか本当のことを説明する…という前フリで始まるのだが、実際は精神が崩壊して神社で冒涜行為を行ったために炊飯器に封じられてしまった劇作家の封印を解くため、劇団員がアラスカに封印に詳しい専門家を探しに行くという嘘八百…じゃなかったファンタジーである。なぜか怒濤の『ワンピース』ネタが盛り込まれていたり、変な味付けがいろいろあってまあ完全に嘘だということはわかるようになっているのだが、「劇作家がスランプで書けなくなった」みたいな細かいところだけは本当なのでは…と勘ぐってしまったりもする。