事前準備がグダグダなのに、なぜか歴史的な意義が~『リバイバル69 ~伝説のロックフェス』(試写)

 『リバイバル69 ~伝説のロックフェス』を試写で見た。1969年にトロントで行われたロックンロール・リバイバルについてのドキュメンタリーである。

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 このフェスはトロントの若いプロモーターであるジョン・ブラウワーが計画したもので、50年代のロックンロールのレジェンドに出演してもらうというコンセプトでチャック・ベリー、リトル・リチャード、ボー・ディドリー、ジーン・ヴィンセントジェリー・リー・ルイスなどを呼ぶ予定で計画していた…のだが、全然チケットが売れなかったらしい。このためブラウワーは現代の大物に出ておもらわないとということでドアーズやジョン・レノンに声をかける。そこでなんとジョン・レノンは思いつきみたいな感じでプラスティック・オノ・バンドを作ってしまう…という、まるでフィクションみたいな展開になる。

 こんなに事前段階ではメチャクチャだったプロジェクトから歴史的に意義のあるものが生まれるというのはビックリだが、そこの経過をいろいろ面白おかしいところも含めて提示しているドキュメンタリーである。出演者が男性メインだとこの種のドキュメンタリーは男性中心的になりがちなのだが、観客の中にいたジャマイカ系ミュージシャンのクラウジャ・バリーとか、撮影クルーのモリー・デイヴィスとか、関係者の女性にちゃんと取材しているのもいい。とくにモリー・デイヴィスはこのイベントに関わっていたバイカー集団のトップであるエッジョー・レスリーをうならせる仕事ぶりだったそうで、えらいカッコいい女性である。