ただのお色気話になっているような…『ラ・メゾン 小説家と娼婦』(試写)

 『ラ・メゾン 小説家と娼婦』を試写で見た。女性の小説家が実際に高級娼館に潜入した体験を書いた小説の映画化である。

www.youtube.com

 全体的に、とくに珍しくはない娼婦が出てくる昔ながらの映画である。娼館でエロティシズムを…などというのは手垢がついた話で全く新しくないと思うのだが、そこから大きく離れているところはない。たまに働いているセックスワーカー同士で助けあう描写があったり、女性が労働者としてセックスワークを選ぶ選択を尊重すべきだみたいな内容がとってつけたように出てくるのだが、そういう現代的な労働問題についての話をしたいならどっかで見たようなエロティシズム描写はなくして、それだけの話にしたほうがいいと思う。さらに、そういう話をしたい映画のように見えるわりには、最後にヒロインがセックスワークで危険な目にあって仕事をやめるので、何を描きたかったのかあまりよくわからない映画になっていると思った。