よくできた青春もの~『Winter boy』

 クリストフ・オノレ監督の『Winter boy』を見た。監督の半自伝的なお話らしいが、時代はほぼ現代なのでだいぶ変わっていると思われる。

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 寄宿制のリセで学んでいるリュカ(ポール・キルシェ)は父が交通事故で急死し、田舎にある実家に連れ戻される。落ち着くまで1週間、パリに住む芸術家の兄カンタン(ヴァンサン・ラコスト)のところに預けられることになるが、兄のルームメイトであるリリオ(エルヴァン・ケポア・ファレ)に心惹かれる。ところがその後、トラブルで連れ戻されることになり、リュカは自殺をはかってしまう。

 リュカはお父さんの自殺も疑われる交通事故死をきっかけに精神が不安定になっていろいろ暴走気味になってしまい、助けてくれそうな年上の青年に夢中になったり、その青年のパトロンに対して売春の売り込みをかけたりする。一応、同年代で肉体関係のあるボーイフレンドもおり、相手はリュカがだいぶ好きみたいだが、リュカはあんまり気持ちを返していない。性描写や自殺の描写も含めてけっこう生々しく若者の精神不安定なところを描いており、よくできた作品である。なお、母役のジュリエット・ビノシュが、リュカがパリで橋を見てきたとかいう話に「ポンヌフ?」と聞くのはギャグなのかな…と思った(ビノシュの代表作は『ポンヌフの恋人』である)。