テートモダン、草間彌生展〜私は頭が悪そうな美術のほうが好き

 テートモダンで草間彌生展を見てきた。


 時代順に草間の作品の発展がわかるように並べるというような感じでそれほど展示品は多くないし「いつもの草間」なのだが、なんか見ていると「これがホンモノの才能とか作家性とかいうもんなんだろうな」と思う。たいして面白くないと思う作品にも何か一様に見て判る独特の気持ちの悪さがあるし、面白いと思えるものには変な迫力というか狂気がある。最近芸術ってどういう基準で評価すべきなんだろうと思うことも多いのだが、草間彌生は私の基準ではとにかく頭がおかしいし(褒めてるつもり)、オリジナリティもあるし、作ってる人がそれ以外できないという衝動に突き動かされてやっているのがありありとわかるし、あとおそらくだいたい同じエネルギーとやる気の量をこめてどの作品も作っているのであろうに出来不出来があって見ている人がなんとなく「あ、これちょっとシクったのかな」とか「習作なのかな」と思えるあたりもいかにも芸術らしいと思う。私、こういう試行錯誤を繰り返す愚直な頭の悪さみたいなものを少なくとも美術(レトリックが必要な文学とかはまた別だろう)についてはアーティストの才能の証として評価したいのだが…

 同じテートでダミアン・ハーストの特別展もやっていたのだが、草間と一緒に見ると明らかにハーストが見劣りすると思ったので見に行かなかった。ハーストとか村上隆とかも芸術の一つのあり方なんだろうとは思うのだが、ああいうクレバーで頭の悪さが目につかない、ある意味エレガントとも言えるスタイルというのが私はどうも好きになれない。

 テートモダンから見たダイヤモンドジュビリーの飾り付け。ミレニアムブリッジに国旗などが飾られている。