エリザベス二世ダイヤモンドジュビリー川船行列〜Power on Display

 今日はエリザベス二世の在位六十周年記念の川船行列があるということで、天気悪いし混雑嫌いだし共和主義者だしぃ…と超行きたくないながらも、共和主義者でショービジネスの研究者としては王政を研究するために仕事と思って見に行かねばと思い、バターシー橋まで行ってきた。

 テムズ沿いの道路は全部封鎖でバスが近寄れなくなっているので、サウスケンジントン駅でおりて行列開始点であるバターシー橋まで歩いたのだが、途中で「1000人のクイーンの夜」という飾り付けを発見。


 王族とかゲイアイコンとかqueenに関係ある絵をポップなタッチでたくさん描いているというオシャレな飾り付け。国旗の飾り付けばかりで辟易していたところでこういうちょっとキャンプ味の飾り付けは目新しくて面白い。


 バターシー橋のパブリックビューイング会場。



 とにかくすごい人。皆国旗を持っている。

 川船行列。

















 船が水を吹くこの動画が一番面白いかも。

 とにかく寒いわ川風が尋常じゃないわ雨は降るわ大混雑だわ、それに基本的に船が動いてるだけで別に船自体がスゲーっていうわけでもなく、そんなに面白くはなかった。あとどの船が何なのかわからないので、たぶんテレビで見たほうが解説が入るぶん「あああれは何々の船なのか」とかわかって面白いと思う。ただ、川船行列ってたぶんルネサンスの入市儀礼とか大きい祭ではたまに行われたものはずだと思うので(本場はヴェネツィアとかだろうが)、ヨーロッパ式の川船行列が見れただけでもまあ演劇史研究者としては満足。

 みんな国旗持っててなんかちょっと愛国心にあてられてやや消化不良を起こしそうになったのだが、うちの周りでは国旗振ってる人がほとんど英語を話してないか、あるいは話していても顔つきや話し方からしてイギリス育ちの白人プロテスタントではなさそうな人がほとんどで、そうかロンドンってこういうとこなんか…と思ってしまった(もうちょっとパブリックスクリーンに近いほうとかにはイギリス育ちの白人らしい人たちが国旗を持ってたりしたけど)。
 
 途中で雨が降り出したので帰り始める人々。

 スローンスクエアまで歩いたのだが、寒すぎてパブリックビューイングポイントはあまり込んでない。

 ただしあったかいとこでテレビも見られるパブやカフェはどこも行列ができてた。
 女王のそっくりさんと写真がとれるスローンスクエアのブース。

 で、地下鉄で帰ろうとしたところなんとスローンスクエアの地下鉄駅は人が溢れて危険だということで入場制限してて入れず。バスに乗ろうとしたらバスは混雑でもう客乗せないとかいって素通り。いつもはポッシュなスローンスクエアが酔っぱらったのに家帰れず雨に濡れた人々でかなりショボくれた雰囲気になっており、歩道に入りきらない人が車道に溢れ出て車にひかれそうで危険でもあるので、しょうがないので横殴りの雨でびしょびしょになりながら歩いて移動し、電光掲示板が故障して行き先不明のバスに乗って一番近い駅で降り、地下鉄に乗り換えてどうにか帰宅。いやいやもうこんなんでオリンピックできるのかロンドン交通局…

 しかしあの王政が持っている魅力というのは何なんだろう。女王が在位60周年だからって英国人でよかったと思う合理的な理由は何ひとつないはずである(女王が元気で頑張ってるのと、英国人であることの利点の間には関係はとくにない)。でも川岸に集まって船を見ていると英国人で良かったとかロンドン市民で良かったとか思う。この謎を解明しないと王制打倒は難しいと思う。共和主義者はこういう催しを馬鹿にして王室関係の祝祭を見にこないことが多いが(BBCにのった王政廃止論者たちの意見。王室関係の祝祭があるとこういう記事がひとつは載るのがイギリスのテレビや新聞の良いところ)、本気で王政をつぶしたいんならこういう催しをちゃんと生で見て、何がみんなを王政あってよかったなという気にさせているのか分析しないとダメだと思う。