さて、王立病院の隣には陸軍博物館があって、「戦火の馬」展(War Horse: Fact & Fiction)をやっていた。もちろん舞台と映画に関連して軍馬の歴史や映画の舞台裏などを見せるもの。これが入り口。
隣のBase Cafe、というのは一瞬「下品なカフェ」かと思ったら「基地カフェ」だった。
光を馬の像にあててまるで走ってるかのように見せる凝った展示。
馬っぽい形のイスに馬具をつけて子供が遊べるようにした気の利いた仕掛け。
『戦火の馬』で主馬公?である軍馬ジョーイが鉄条網にひっかかってしまう場面を模した針金の馬の彫刻。かなり気合いが入っている。
これ以外にもいろいろな無料特設展や常設展があるので、一応見てこようと思ったらいきなり弓矢の達人と鉢合わせ。
うう。
私の博論にも登場する、イングランド内戦期の議会派の文化人、ハッチンソン夫妻。夫のジョンはチャールズ一世の処刑の証書にサインしたregicides(王殺し)と言われる人々の一人。妻のルーシーはたぶん17世紀半ばのイングランドの女性としては桁外れに教養と文才があり、ルクレティウスを初めて英訳し、夫の伝記や長詩なども書いていた。
またスナイパーに狙われるし…
遠征でトラに食われた軍人をしのぶ置物…らしいんだけど、これちょっとひどくない?
不味そうなレーション。
軍事における医学・看護学の発展を説明するコーナー。ナイティンゲールほか、英雄的な業績をあげた看護師を数人紹介。
セヴァストポリから救出されたネコの剥製らしい。
臭くて狭くて暗い塹壕。帝国戦争博物館にはもっとデカい塹壕模型があるのだが、塹壕はデカいほど気が滅入るので小さいこっちのほうがおすすめ。
第一次世界大戦、モンスの戦いの模型。
第二次世界大戦。日本軍による英国・インド・その他コモンウェルズ諸国の捕虜虐待については独立したコーナーがもうけられている。日本軍がジュネーヴ条約を遵守しなかったこと、過酷な労働条件で捕虜を働かせていたこと、栄養状態が大変悪かったことなどを説明。
現代の紛争。
紛争地域の場所と、そのうちどこに英国軍が派遣されており、その業務は平和維持業務か戦闘業務かを示した図。
ジュビリーの展示。女王と英国軍。
戦時中、メカニックとしての軍事教練を受ける女王。女王は元軍人である。
そんなに大きくない博物館なのに展示は非常に充実しているのだが、帝国戦争博物館に比べると軍人を主体にしているせいで結構ナショナリズムのにおいが鼻につくところもある。ただ、展示がかなり視覚的効果を狙ったものなので、はっきり言って見ているだけでもう戦争とか飽き飽きしてきた(軍人の名誉ある仕事を国民に見せよう!という目的でやってるんなら不成功かもしれないが、まあこれは私が英国人でないからというのもあるかもしれんけど)。泥水に頭までつかったり、臭くて狭い塹壕に隠れたり、スナイパーに狙われたり、レーションが不味かったり、ジープが泥にはまって後から押さないと動かなくなったり、華々しく戦死するかと思ったらぼーっとしてる間にトラに食われてさらに死後置物にされたり、後方も人手不足でやったことのない仕事を突然習わないといけなくなったり、全くうんざりするようなことばかりである。こんなことのために国民の税金と働き盛りの男女の労働力を大量に投資しているのかと思うとはっきり言ってバカバカしくなってしまう。