ルーシー・リューの華麗な扇アクションはバーレスクファン必見!『アイアン・フィスト』[少しネタバレあり]

 『アイアン・フィスト』を見た。


 ↑ごめんこれはトレイラーじゃなかった。

 これはウータン・クランのRZAがの初監督作で、クエンティン・タランティーノイーライ・ロスが手伝っており、かなりタランティーノ周辺の影響を受けて作られた映画という感じ。話は19世紀頃の中国に流れ着いたアフリカンの鍛冶屋(RZA)を中心に、いろいろな武装集団やら武術の達人が金塊をめぐって争う様子を描くというもの。


 途中までひたすら鍛冶屋やってたRZAが後半急に僧侶から格闘家にパワーアップしたりするあたりの展開に疑問があるし、あとやたらにカット割りが早くてめまぐるしいとか(アクションシーンはもうちょっと長めにとったほうが楽しめるのでは…)、スプリットスクリーンが一、二度ならともかく最後のほうくどくなってくるとか編集にもちょっとなぁと思うところはあるのだが、ミュージシャンの初監督作ということを考えると、気取ったところもなくとにかく製作陣もお客さんも楽しいアクション映画を作ろうとした感じで全然いいんじゃないかと思う。ほとんどギャグみたいなすっとんだ変な映画だし、かなり暴力的で血とかいっぱい出るので誰にでもおすすめできるものではないが、私は十分面白かった。


 RZA以外にけっこうヴェテラン俳優が出ており、ラッセル・クロウが超怪しい英国紳士の役で出演。普段はおとなしそうだが怒るとすぐ人を殺すし、かなり政府関係者の英国人として汚いことをしてそうな雰囲気があって、私が考える英国紳士そのものである(???)。一瞬だけパム・グリアーが出てくるのも面白い。あまりカンフー映画に詳しくないので名前や顔を知ってる人が少なかったのだが(二人くらいなんとなく顔わかる人がいて後で調べて「あ、あれに出てた人か!」とわかった程度)、出てくるチャイニーズの役者さんもみんなキャラが立ってていいと思う。とくに私がオススメなのは妓楼の女将の役で出てくるルーシー・リューで、一見大人しそうだった遊女たちがいきなり格闘集団に変身し、リューがナイフを仕込んだ東洋扇(ファンダガー?)を振り回して華麗なアクションを繰り広げる場面はバーレスク・ファンなら大喜びだと思う。『キル・ビル』はもちろん『チャーリーズ・エンジェル』ネタ(格闘中に髪が切れるというやつ)まで入っているのが個人的には嬉しい。