Heather Dubrow, Echoes of Desire: English Petrarchism and Its Counterdiscourses

 Heather Dubrow, Echoes of Desire: English Petrarchism and Its Counterdiscourses (Cornell UP, 1995)を読んだ。

 英国ルネサンス期の詩におけるペトラルカ主義と反ペトラルカ主義を、シェイクスピアのような有名作やメアリ・シドニー・ロスのような最近人気の女性詩人からほとんど知られていないような詩までいろいろな材料を使って読み解くというもの。そもそもペトラルカ主義と反ペトラルカ主義の違い自体が非常にプロブレマティックというか、詩人によってかなり違っていたりしてとらえにくく、そこがまた面白いなと思った。ペトラルカ主義も反ペトラルカ主義も女性の表象をめぐっていろいろ違った解釈戦略を戦わせるわけだが、女性を理想化しない反ペトラルカ主義にもミソジニーの風味がある作品があったり、一読しただけではなかなか整理しづらいところもあるが一筋縄ではいかない感じで興味深い。