熊川哲也を初めて見る〜Kバレエカンパニー『ロミオとジュリエット』

 Kバレエカンパニーの『ロミオとジュリエット』を見た。熊川哲也のバレエを見るのは生まれて初めて。

 セットは二階建てのルネサンス風の建物でちょっとグローブ座ふう。墓所の場面なんかは照明で変化をつけており、またまた衣装はそれぞれのキャラクターの性格を表すようなものになっていて(赤っぽいティボルトに奇抜なマキューシオとか)、舞台装置や照明、衣装など美術的側面は非常に良かった。

 熊川哲也のロミオは若々しくて(あとで年を知ってびっくりした)かっこよかったし、かわいらしいロベルタ・マルケスのジュリエットや非常に生き生きした少年らしい井澤諒のベンヴォーリオなど、バレエにことには初心者でもキャラクター付けがはっきりしていて見やすかった。ティボルトをゴロツキのように演出しているのは実にわかりやすい。

 全体的には、ジュリエットと恋に落ちて舞い上がる前はかなり憂鬱そうな状態が続くロミオ(熊川ロミオはほんと、メランコリックな若者だと思った)が出ずっぱりの前半よりも、ドラマティックな後半のほうが演出のメリハリもあって良かったと思う。ただ、演出じたいについては、かなり露骨だったり劇的だったりしたイングリッシュ・ナショナル・オペラの上演や、カルロス・アコスタが出ていたロイヤル・バレエのほうが私は好きかなぁという気がする。まあそもそも私はバレエはあまり得手でないっていう気がするので、あくまでも素人の感想だが。